足立区に中国の地方都市そっくりな“ガチ中華街”。「竹ノ塚」はネクスト西川口【中華ビジネス戦記】

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中国のSNSで、足立区竹ノ塚にオープンした「火鍋が食べられる中国カラオケ店」の情報を見かけ、(街の様子を映す)Googleストリートビューで現地を確認したところ、店だけでなく通りまでが“ガチ中華”だった。あまりに気になり、現地に足を運んだ。東京でガチ中華の聖地といえば池袋、西川口、最近では上野あたりが有名だが、竹ノ塚も“ネクスト西川口”と呼べるほど、ガチ中華系の飲食店や中華物産店が増えている。なぜだろうか。

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リトルマニラが中華街に変貌

上野から日比谷線直通東武スカイツリーラインで約20分。竹ノ塚駅を降りて東口周辺をぶらぶらすると、中国東北系の炭火串焼が食べられるガチ中華レストランがいくつか見つかった。そしてお目当ての“ガチ中華街”は駅前から竹ノ塚けやき大通りを10分ほど歩いた先にあった。目に飛び込んでくるガチ中華2店と中国カラオケ店が連続して並んだガチ中華3連単。簡体字の派手な看板が並び、中国の地方都市に来たかと錯覚してしまう。

竹ノ塚駅前周辺はフィリピンパブが多く、以前からリトルマニラと呼ばれていた。足立区は東京都でフィリピン人が最も多く住んでいる地域であり、東京都の統計によると2023年1月時点で3753人が暮らしている(10年前の2013年1月でも3221人)。出稼ぎで来たフィリピン人が住みだし、知人を呼びこんだため人口が増えたと言われているが、工場が多い埼玉県に近いことや大規模な団地があり家賃が比較的安いことも関係しているだろう。こうした団地は保証人がいなくても契約できるケースが多く、外国人が集まりやすい。

フィリピン人の他には韓国・朝鮮人の人口も新大久保がある23区では新宿区に次いで2番目に多い。

東京で最も中国人が増えている足立区

東北料理の店が多い

一方で中国人はというと、2023年1月時点で1万5404人が足立区で暮らしている。在日中国人の母数が多いというのもあるが、フィリピン人の4倍以上だ。この数字は東京都内でも江東区、新宿区に次いで3番目の多さである(ガチ中華の店が多い池袋がある豊島区や上野がある台東区よりも多い)。8486人だった10年前の2013年1月時点と比較すると1.8倍、数で言えば7000人近く中国人が増えている。人数で見ると東京都内でここ10年で最も中国人が増えているのが足立区なのである。

竹ノ塚のガチ中華3連単のうちの1軒、弘盛焼烤のオーナーは「竹ノ塚に中国人が多いのはやっぱり家賃が安いことがあると思います。また最初に住むようになった中国東北の人が知人や友人の東北出身の人を連れてくることも多いです」と話す。確かに竹ノ塚で見かけた中華料理の店はほとんどが東北系の料理を出す店だった。

足立区が2021年に区内に住む外国人を対象に行なった足立区外国人実態調査では同区に住む理由として「手頃な住居が見つかった」という理由が最も多かった。やはりリーズナブルに住める団地が多いことが関係しているようだ。また、上野まで20分、東京駅までも30分程度と交通の便がよく、「通勤・通学に便利」という理由も2番目に挙げられていた。

足立区の地区別居住者の割合をみると竹ノ塚団地がある竹ノ塚一丁目から六丁目あたりは外国人居住者の割合が高く、多くの中国人が住んでいることが想像できる。

中華物産展も増えている

人気は中華で食事、中華カラオケコース

竹ノ塚にはガチ中華と同じくらい多くの中華物産店もある。毎回外食をするわけではないので、自宅でも中国と変わらない食生活を送れるように中華物産店で食品を購入している人が多いのだろう。

中国スタイルのカラオケが併設されているガチ中華店も多くみられた。竹ノ塚の中国カラオケ「夢幻王朝」で働く歐陽さんによると客はほぼ中国人で、週末には多くの中国人が店を訪れカラオケを楽しんでいるそうだ。事前に予約すればカラオケをしながら火鍋も食べられるという。他にも中国人向けの美容院や、中国人が経営している洗車専門店なども見つかった。

西川口や蕨などもそうだが、中国人が増えることで、彼らをターゲットにした店が増え、生活が便利になることでさらに多くの中国人が流入するというサイクルが竹ノ塚でも今後起こりそうだ。

作者:阿生

東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。

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