5Gスマホ発売へ 中国4大スマホメーカーの主導権争いの幕開け

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

ビジネス注目記事

5Gスマホ発売へ 中国4大スマホメーカーの主導権争いの幕開け

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国政府が6月6日に、5Gスマホの実用化を加速させるため、大手キャリア3社に5G商用化営業許可証を交付した。そして、5G対応スマホの主導権争いが本格的に幕を開けた。中国4大スマホメーカーのファーウェイ(華為技術)、シャオミ(小米)、OPPO、vivoは、いずれも第3四半期に5G対応の新機種の発売を予定しており、熾烈な競争が繰り広げられると見られている。

大手キャリアのチャイナモバイル(中国移動通信)は、すでにこの4社の製品を含む11機種、1万台もの5G端末に関して、発売の準備を終えているという。

折り畳みスマホより遥かに実用的

今年のスマホ市場の2大トレンドは、折り畳みと5Gだ。しかし、デザイン性重視で実用性に欠ける折り畳みスマホと比べ、5Gスマホは遥かに実用的とされる。

チャイナモバイルによれば、2019年に発売される5Gスマホは、5000元(約8万円)以上のハイエンドモデルが中心だという。決して安くはないが、15000元(約24万円)以上する折り畳みスマホと比べれば、はるかに安価だ。

また、5Gによる超高速・大容量・低遅延の通信は、ゲーム、ネットショッピング、動画再生等人々の生活を大きく変えていく。一方で折り畳みスマホはデザイン性が評価されるものの、アプリの対応が追い付かず、大画面以外の改善点は見られない。

このためOPPOやvivo等、当面は折り畳みスマホを発売しないとするメーカーも多い。しかし5Gスマホに関しては、どのメーカーもこぞって宣伝に努め、新機種を発表しており、巨大な商機が生まれることが期待されている。

大手4社による「5G戦争」が勃発

5Gによってスマホの買い替えブームが起き、2020年にはスマホ市況が回復すると見られている。市場調査会社Canalysによれば、2019年の世界スマホ予想出荷台数は前年比3.1%減の13億5000万台だが、2020年はプラス成長に転じ、前年比3.4%増の13億9000万台になる見込みだという。スマホ市場全体が回復する中で、新機種に対する消費者のニーズも高まり、大手メーカーの売り上げも自然に上がっていくと期待される。

世界市場で大きな挫折を味わったファーウェイ、国内販売が不振のシャオミと海外進出でファーウェイやシャオミに後れを取ったOPPOとvivo、置かれた状況はそれぞれ異なる4社だが、今は一斉に中国5Gスマホ市場に大きな商機を見出している。

5Gスマホは2020年から急激に増えると予想されている。「国金証券(Sinolink Securities)」は、2020年中国の5Gスマホ販売台数を6500万台と予想し、5Gによって2020年下半期~2024年頃に大規模なスマホ買い替えブームが起きると見込んでいる。

つまり、5Gスマホで他社より高い評価を得られれば、将来的に大きな利益を見込めるのだ。このため、大手4社がこの第3四半期に発売する新機種は、たとえ今年度の業績に与える影響は小さくても、将来的には非常に重要な意味をもつ。また、今年発売される5G対応スマホはいずれもハイエンド機種であるため、4社にとってブランドイメージを上げるきっかけにもなる。

革新的な通信技術が誕生する度に、携帯電話業界では激しい企業間競争が繰り広げられる。今回の「5G戦争」により、トップ企業は現在の地位を守れるかもしれないが、小規模メーカーは窮地に追い込まれ、市場シェアを大手4社に奪われてしまうだろう。

興味深いことに、アップルは今年5G対応スマホを発売する可能性が低い。これはハイエンド市場を虎視眈々と狙うファーウェイ、サムスン等の競合相手にとって、5Gに興味をもつアップルユーザーを取り込む千載一遇の好機である。

5G対応スマホは、メーカーにとって最も重要なデバイスであるだけでなく、他のハードウェア開発の今後を占う試金石でもある。5G時代には、AR/VR設備が爆発的に普及し、IoTの波が大きく広がると見込まれている。
(翻訳・桃紅柳緑)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録