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中国でこのほど、人工知能(AI)を悪用した振り込め詐欺事件が発生した。犯人はAIを使って実在の人物の顔と声を複製して被害者の友人になりすまし、わずか10分弱で430万元(約8500万円)をだまし取った。
警察によると、被害に遭った福建省福州市のテック企業の経営者A氏は4月20日午前11時40分、SNSアプリの微信(WeChat)で連絡してきた友人とビデオ通話を始めた。ちょっとした会話の後、友人は「知り合いが入札の保証金として430万元を必要としているが、法人口座同士で口座振替手続きをしないとならない。あなたの会社の法人口座を利用させてくれないか?」と切り出した。
A氏がなんの疑いもなくキャッシュカードの番号を伝えると、友人は「お金はもうあなたの口座に振り込んだよ」と言って、振込み伝票のスクリーンショットを送ってきた。A氏は着金を確認することなく、11時49分に430万元を2回に分けて指定された口座に振り込んだ。
振込みが完了し、A氏がチャットで「手続きは終わったよ」とメッセージを送ると、友人からは「?」の一文字だけが返ってきた。何かがおかしいと気づいたA氏がすぐさま友人に電話をかけたところ、友人は一連の出来事について何も知らないことが分かった。ついさっきまでビデオ通話で話していた相手は、詐欺師がAIを使って友人の顔と声を複製した偽物だったのだ。
不幸中の幸いだったのは、A氏の通報を受けた警察が銀行と連携して即座に行動したため、336万8400元(約6700万円)を回収できたことだった。残りの93万1600元(約1800万円)の行方についても現在、捜査が進められている。
*2023年5月29日のレート(1元=約19.9円)で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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