太陽光発電が世界で急成長、大きな存在感見せる中国企業

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「太陽光発電の新規導入容量は今年、世界で約350GW(ギガワット)前後となる見込みで、来年には累積導入量が水力発電を超えるだろう。2026年には天然ガス火力発電、27年には石炭火力発電を超えて太陽光が1位となるだろう」。

中国太陽光発電の大手「協鑫集団(GCL Holdings)」の朱共山会長は5月に上海市で開催された「第16回国際太陽光発電・スマートエネルギー大会(SNEC)」の基調講演でこうした見通しを明らかにした。

大会は2年ぶりの開催で、満席となった開会式からは太陽光発電業界の好景気がうかがえた。

「電気自動車、太陽電池、リチウムイオン電池」は現在、中国の輸出をけん引する存在になりつつある。いずれも高い技術力や高い付加価値、グリーントランスフォーメーション(GX)を象徴する製品だ。

中国はここ数年連続で世界最大の太陽光発電市場であり、世界最大の製造大国ともなっている。2013年から21年までの間、太陽光発電用部品の生産量は世界の65%以上を占め、世界中の市場に部品を供給してきた。

太陽光発電用インバーター大手「陽光電源(Sungrow Power Supply)」の曹仁賢会長は同大会のあいさつで太陽光発電産業について以下のように言及した。中国政府の脱炭素政策「ダブルカーボン(双碳)目標」実践の第一線に立つ産業として、中国の太陽光発電産業は世界で最も完成度の高い産業チェーンを持っており、その中のどのプロセスにおいても世界最高水準を維持していると話した。また、すでに国際的な競争力を持つ中国の太陽光発電産業は、最も質の高い成長を遂げた新興産業のモデルになると期待されているとした。

太陽電池などを手掛ける「通威集団(Tongwei Group)」の劉漢元会長は、世界的に低炭素化や質の高い成長を目指す流れとなっている中、中国が全人類のエネルギー転換をけん引する国になると指摘。中国の製品、中国の資本、中国の技術がエネルギー転換を推進しけん引する主役となり、全人類に新しく進歩的で環境にやさしく持続可能な未来のエネルギーと経済社会の成長をもたらすと話した。

太陽光発電業界は今後、世界中で長期的に好調を維持し、急成長が続くと期待されている。

協鑫集団の朱会長によると、欧州の太陽光発電市場は今年、40%という高い成長率を維持する見込みだという。2025年、欧州の太陽光発電累積導入量は320GWを超え、30年には1TWに達する見込みだ。米国の累積導入量も今後10年で800GW前後に達すると見られている。

陽光電源の曹会長は、太陽光発電業界は中国市場でも急速な成長を維持すると見ている。中国の太陽光発電累積導入量は2023年には水力発電を超え、非化石エネルギーとして初めて1位になる見込みだ。

このほか、曹会長は、従来型エネルギーの枯渇と価格の上昇とともに、これからは太陽光発電が最も経済的な電力源になると見ている。「太陽光発電+蓄エネルギー」「太陽光発電+水素エネルギー」「太陽光発電+自動車」など太陽光発電と組み合わせた新しい業態や産業が徐々に形成されており、爆発的な成長が実現できるという。

しかし、中国の太陽光発電業界の成長の道のりは平たんではないだろう。

太陽光パネルなどを手掛ける「天合光能(トリナ・ソーラー)」の高紀凡会長は、中国の太陽光発電産業は急速に成長しているものの、生産過剰、技術のアップデート、国際環境という3つの課題があると同大会で指摘している。

高会長は、中国では太陽光発電、風力発電の累積導入量が急速に増加することで、2025年には電力ネットワークがシステムのバランスと安定という大きな課題に直面すると見ている。太陽光発電の持続的な成長のためには、新エネルギーの割合の急速な増加に対応できる新しい電力システムの構築を急ぐ必要があるという。

(翻訳・山口幸子)

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