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7月16日夜、WeChat(微信)はiOS 7.0.5バージョンをリリースした。フローティングウインドウ機能がグレードアップされ、公式アカウント、ミニプログラム、コレクションメモ、ファイルのプレビューなどの機能が拡充された。外部リンク時のフローティングウインドウ設定をサポートし、同時に設定できるフローティングウインドウは最多で5個となっている。
今回のアップデートでは、フローティングウインドウ機能のグレードアップは重要なポイントと言えるだろう。最多で5つのフローティングウインドウを追加すると、常に色が変わる5色の花が現れる。またWeChatで音楽を再生する際、音楽フローティングウインドウが自動的に「浮き上がる」仕組みとなっている。これを「1つのマイルストーンを超えた」と評価する人もいれば、「WeChatはOSにより近づいた」と見ている人もいる。確かにWeChatの「OS化」は進んでいるが、WeChatが本当に目指しているのはそれだけではないはずだ。
WeChatは当初ただのチャットツールだったが、今では、公式アカウント、モーメンツ(朋友圏)、ゲームセンター、WeChatPay(微信支付)、ラッキーマネー(紅包)、ミニプログラム、ナイングリッド(九宫格)、チケット(卡券)など機能が充実しており、人々に多様なサービスを提供するWeChatエコシステムが形成されている。
フローティングウインドウによるマルチタスク管理を行えば、WeChatユーザーが重要なオリジナル機能を自由に切り替えることができることが、これらサービスの利用頻度と使用時間を高めている。同時にこうした統合管理によってユーザーはより充実した体験が得られるのだ。例えば、ユーザーがスマホでApp Storeから必要なアプリをダウンロードすると、WeChat画面ののタスク欄で簡単な設定をするだけで、頻繁に必要とされるサービスのショートカットを作成できる。
IoTの時代、ソフトウェアとハードウェアの統合がトレンドとなっている中、ファーウェイ(華為)、サムスン(三星)などの携帯電話メーカーは主導権を握るため、独自のOSを計画している。国民的ソーシャルツール、インスタントメッセンジャー、「1つのエコシステム」としてのWeChatも何かを計画しているだろう。こうした中で、大きな変化が見られるのはWeChat内で動く、インストール不要のアプリであるミニプログラムだ。
ミニプログラムについて、WeChat開発者兼テンセント副総裁の張小龍氏は最近の公開レッスンで「オフラインではQRコードをスキャンすればミニプログラムにアクセスできる。オンラインでは、SNSや検索を通じてミニプログラムにリーチできる」と語っている。小売業では、ショップは商品にQRコードを印刷し、ユーザーはそれをスキャンすることでミニプログラムを起動させ、イベントに参加したり、ラッキーマネーを受け取ったりすることができる。これはショップが販売チャネルを通さずに消費者と直接的に関係を築くことができることを意味している。現在、栄養ドリンク「東鵬特飲(Eastroc Super Drink)」、清涼飲料「王老吉(ワンラオジー)」、ヨーグルト「蒙牛純甄(mengniu)」等商品には1商品につき1コードの仕組みが導入されている。
以前、張小龍氏はPCの入口は検索にあり、モバイルインターネットの入口はQRコードにあると語っていた。この1商品1コードという仕組みを入口として、連動するミニプログラムがオンラインとオフラインをリンクさせる。将来全てのオフラインのサービスと商品に専用のコードが貼付けられていれば、ある意味では、消費者がそれをスキャンするだけで、販売サイドが消費者にリーチできるということになる。
そうするとWeChatはただのOSではなくなり、人と人、人と物をつなぐ、より大きな存在になる。IoTの時代、OSという一言でWeChatを表現することはできなくなっているのかもしれない。しかしWeChatの中核は、依然としてスマホを使った様々な行為の効率を高めるためのツールだということが言えるだろう。
様々な情報やサービスにアクセスでき、WYSIWYG(見たままが得られる)を実現できるミニプログラムは張小龍氏が最も長い時間をかけて開発している商品だ。今日、2億のデイリー・アクティブユーザーを擁するミニプログラムでも、まだ完成型ではなく、さらなる進化が続いている。張小龍氏は、他社のミニプログラムが脅威となることを全く心配していないようだ。
(翻訳・桃紅柳緑)
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