ゲームの実況映像配信をめぐる裁判で、テンセントが再びバイトダンスに勝訴

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ゲームの実況映像配信をめぐる裁判で、テンセントが再びバイトダンスに勝訴

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ゲームの実況映像配信を巡る、ゲーム開発元のテンセント(騰訊)と短編動画アプリTikTokなどの運営会社バイトダンス(字節跳動)の法廷闘争は、今回もテンセントの勝利に終わった。

7月23日、広州の知的財産権裁判所は、テンセントの主張を認め、バイトダンス傘下の動画配信プラットフォーム「火山小視頻(Huoshan)」に対し、人気ソーシャルゲーム「王者栄耀」のライブ配信、また同じくバイトダンス傘下の動画配信プラットフォームである「今日頭条(Toutiao)」および「西瓜視頻(Xigua Video)」に対し、ゲーム「穿越火線(クロスファイア)」のライブ配信を、ともに停止するよう命じる判決を出した。

この半年の間に、テンセントはバイトダンスに対する8つの訴訟に加え、西瓜視頻プラットフォーム上のゲーム実況者1名に対して訴訟を起こしている。これまで一連の裁判では、テンセント側の主張が大方認められ、いずれもバイトダンス側が敗訴している。

訴状の中でテンセントは、バイトダンス系列の動画配信プラットフォーム上で多くのユーザーが許可を得ないまま同社のゲームを実況配信する行為は知的財産権の侵害であると主張し、バイトダンスにライブ配信の停止と関連動画の削除を求めた。テンセントのゲーム利用規約では、テンセントの許可を得ずにゲームコンテンツを録音・録画、実況中継、または他人へ配信することを禁じている。

一方、バイトダンスはテンセントに対して、「ユーザーは、自分の操作によって生成された独創的なゲームの連続画面といったコンテンツに対し著作権を有する。または少なくともテンセントとの共同著作権を有するため、ライブ配信を行う権利がある」と主張した。

両社の最大の争点は、ゲームユーザーが自分の操作によって生成されたゲーム画面に対して著作権を有するか否かという点にあった。判決で広州の知的財産権裁判所は、今回問題となったゲーム画面は、ユーザーの二次創作によって産出された作品ではなく、ゲーム制作者が知的財産権を有するコンテンツが消費された結果であるため、ユーザーは自ら操作したゲーム画面に対して著作権を主張し、それにより利益を得てはならないとの見解を示した。

テンセントとバイトダンスの争いは、ゲームという分野に限ったことではない。

中国の調査会社Analysysによれば、2018年、中国オンラインライブ配信の市場規模は、前年比32.76%増の376億5000万元(約6000億円)に達したが、このうちゲーム分野は127億9000万元(約2000億円)で、全体の33.97%を占めている。

ライブ配信分野において、ゲームの著作権を持っているテンセントは揺るぎない地位を確立している。過去数年間、ゲームの実況映像を中心とした動画配信プラットフォーム「虎牙直播(Huya)」や「闘魚(ドウユウ)」等に出資し、自ら配信サービスを開始するための準備を進めている。今年2月には傘下のゲーム実況配信プラットフォーム「企鵝電競(Tencent Egame)」や「闘魚」などと共同で「ゲームの実況配信に関する通知」を公布し、コンテンツの著作権を守るための12か条を発表した。その1カ月後には、テンセントがライブ配信ミニプログラムの内部テストを開始している。

一方バイトダンスの強みは、TikTok等の人気アプリにある。今年第1四半期、TikTokのDAU(一日当たりのアクティブユーザー数)は3億2000万人を突破し、バイトダンス傘下の全アプリを合わせると、DAUが計7億人、全世界のMAU(月間アクティブユーザー数)は計15億人にものぼる。テンセントの同時期の決算報告では、WeChatの全世界のMAUは11億1200万人、QQのMAUは8億2300万人となっている。ユーザー数だけを見れば、この2社はほぼ同等であると言える。

このほか、海外ではあまり知られていないテンセントとは対照的に、バイトダンスは海外から多くの注目を集めている。中国の調査会社QuestMobileによれば、TikTokは、今年2月に海外市場でiOSとAndroidの累計ダウンロード数が10億を突破し、昨年はInstagramのダウンロード数を大きく上回ったという。

現時点でテンセントの株価は約45.91ドル(約5000円)、時価総額は約4371億4000万ドル(約48兆円)。一方、今年2月にプレIPOラウンドでの資金調達を完了したバイトダンスは、時価総額が750億ドル(約8兆円)に達し、アリババ傘下のフィンテック企業アント・フィナンシャルに次ぐ中国第2位のユニコーン企業となった。

テンセントとバイトダンスの争いは、短期間で勝敗を決するものではない。ただ、確実に言えるのは、今回の著作権をめぐる法廷闘争は、長い争いの始まりに過ぎないということだ。
(翻訳・桃紅柳緑)

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