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対話型AI「ChatGPT」が起こした大規模言語モデルのうねりが収まらない。
中国では今年3月以降に数十社が参入し、多くの製品がすでに発表されている。アリババ、百度(バイドゥ)、バイトダンス(字節跳動)などのIT大手、センスタイム(商湯科技)、出門問問(Mobvoi)に代表されるAI開発企業のほか、ポータルサイト大手の捜狐(Sohu)元CEOの王小川氏や、美団(Meituan)の共同創業者だった王慧文氏といった大物が新たに事業を立ち上げている。
なかでも音声認識分野最大手「iFLYTEK(科大訊飛)」の「訊飛星火(iFLYTEK Spark)」はひときわ目を引く。会長の劉慶峰氏によると、同社が10月に開催する「世界1024開発者大会」までに中国語の理解でChatGPTを上回り、英語でも互角のレベルにするという。
訊飛星火は現在中国で最もChatGPTに近いとも言われている。
6月初旬の高考(全国統一大学入試)で上海市の数学試験に出題された穴埋め問題10問を、訊飛星火のほかChatGPT、百度の「文心一言(ERNIE Bot)」、アリババの「通義千問(Tongyi Qianwen)」、ITセキュリティ企業・三六零安全科技(360 Security Technology)の「360智能」に解かせてみたところ、訊飛星火が5問を正解し正答率が最も高かった。
iFLYTEKは訊飛星火の完成まで、20年以上にわたって技術を積み上げている。中国の音声認識分野のトップとして常に先頭を走り、惜しみなく研究開発に資金を投じてきた。公表されている資料によると、2022年の研究開発費は33億6000万元(約660億円)で売上高の17.83%に相当し、研究開発スタッフは全従業員の61.68%を占める9281人だった。
6月9日には訊飛星火の1.5バージョンと新たな進展を発表した。数学的能力、テキスト生成、複数ターンの会話などの能力がいずれも一層向上し、ChatGPTに肉薄するレベルになったとみられる。
訊飛星火をベースにそれまでのAIアシスタントをアプリ製品としてアップグレードした「星火語伴」も発表した。対話機能や翻訳機能を備え、中国語、英語、日本語を含む9言語のテキスト、音声、画像内のテキスト翻訳に対応する。訊飛星火はこのほか、医療分野のリハビリ管理プラットフォームや産業用デジタルツールなどのプラットフォーム「羚羊産業互聯網」、スマートモニター「訊飛聴見智慧屏」などにも活用されている。
医療分野ではAIアシスタント「智医助理」がすでに実用化されている。2017年に医師国家試験の問題を解かせた結果、得点は合格ラインを上回る456点で、全受験生の96.3%を超える成績を収めた。AIが医師国家試験に合格したのはこれが世界初だ。また呉暁如総裁によると、同社のリハビリ管理プラットフォームで医師の業務効率が10倍以上向上し、患者の満足度は98%に達したという。このプラットフォームにも訊飛星火が導入され、人と機械とで24時間365日患者の安全を守る体制を作りあげている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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