アリババの2020年第1Q決算は大幅な増収増益、地方都市が貢献

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中国のIT大手アリババが15日夜、2020年第1四半期(2019年4~6月)決算を発表した。売上高は前年同期比42%増の1149億2000万元(約1兆7240億円)で、市場予想の1115億9000万元(約1兆6740億円)を上回った。非GAAPベースの純利益は309億4900万元(約4642億3500万円)となり、ブルームバーグが予想した253億元(約3795億円)を上回った。

「タオバオ(淘宝)」「天猫(Tmall)」などを含む小売プラットフォームにモバイル端末からアクセスするユーザーのMAU(月間アクティブユーザー数)は7億5500万人で、3カ月で3400万人、半年で5600万人増加。年間アクティブユーザー数は6億7400万人に達した。

天猫総裁の蒋凡氏によると、今年6月に開催されたネットショッピングイベント「618セール」期間中、モバイル端末からタオバオにアクセスしたDAU(1日当たりアクティブユーザー数)は前年同期比29%増加した。また、4~6月期の天猫のGMV(流通総額)は前年同期比34%増と、10四半期連続で30%を超える力強い伸びを示した。

GMVが大幅に増加した要因は、アリババのEC(電子商取引)事業と地域密着型生活サービス事業(フードデリバリーの「餓了麼」など)が低所得層の多い地方都市に浸透したことだ。例えば天猫のGMVは618セール期間中に前年同期比38%増え、このうち四、五、六級都市とされる地方中小都市のユーザーの占める割合が49%に上った。共同購入サービス「聚劃算(juhuasuan)」の取引額は前年同期比86%増加し、三~五級都市ではユーザー数とGMVが前年同期の2倍になった。タオバオでは年間アクティブユーザー数の70%以上を地方中小都市が占めており、2019会計年度(2018年4月~2019年3月)は77%に達していた。また、聚劃算傘下で格安販売を手掛ける「天天特売」は618セール期間中に4億6600万件の受注を獲得した。販促イベントが消費者を引きつけ、GMVの増加につながっている。また、地方都市向け市場で売上を伸ばすブランドや業者が増え、120を超えるブランドがそれぞれ1億元(約15億円)以上のGMVを生み出している。4~6月期決算では餓了麼の財務データが初めて単独で示され、売上高は前年同期比137%増だった。スターバックスとの提携などに加え、地方都市向け市場の拡大も大幅増収に反映されている。

クラウドサービス「アリババクラウド(阿里雲)」、次世代スーパー「盒馬生鮮(Hema Fresh)」、物流プラットフォーム「菜鳥網絡(Cainiao Network)」、東南アジアのネット通販「ラザダ(Lazada)」などの売上高が持続的に増加していることも業績に貢献した。

アリババクラウドでは顧客1人当たりの平均売上高が増加したことで、売上高が前年同期比66%増の77億8700万元(約1168億500万円)となった。盒馬生鮮では既存店売上高が引き続き大幅に増加した。菜鳥網絡では618セール期間中、越境ECの「天猫国際(Tmall Grobal)」が輸入した商品数千万個を保税倉庫から出荷し、出荷個数が前年同期に比べ60%以上増加した。海外EC事業の売上高は前年同期比29%増の55億6700万元(約835億500万円)だった。トルコの「トレンドヨル(Trendyol)」が連結対象となったこと、「アリエクスプレス(AliExpress)」の売上が急激に伸びていることが主な要因だとしている。ラザダも3四半期連続で前年同期比100%以上の伸びを実現しており、4~6月期はモバイル端末からアクセスするユーザーのDAUが前年同期の2倍となった。このほか、エンターテインメント事業は映画制作・配給会社「アリババ・ピクチャーズ」を連結対象としたことで、売上高が前年同期比6%増の63億1200万元(約946億8000万円)となり、DAUは同40%増加した。

4~6月期の純利益は大幅に増加し、予想を大きく上回った。主な要因は餓了麼の補助金支給額が予想を下回ったこと、動画配信サービス「優酷(Youku)」のコンテンツ関連コスト低減、クラウドコンピューティング事業が大幅に赤字を減らしたことだ。

投資銀行の中金公司は、アリババの業績は好調ながらも、このところ集客力の高いコンテンツプラットフォームで収益化に注力していたことから、今後は短期的に収益化率が鈍化する可能性を示唆。ただし長期的にみれば、他社に流れていた広告も最終的にはアリババに戻ってくるとの見方を示した。

前回の決算発表時、アリババ経営陣は2020会計年度通年の売上高を前年比33%増の5000億元(約7兆5000億円)としていた。
(翻訳・池田晃子)

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