AI×ロボティクスで発電所や鉱山のスマート化 「Boonray」が数億円を調達

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AI×ロボティクスで発電所や鉱山のスマート化 「伯鐳科技」が数億円を調達

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AIロボティクスとデジタルサービスソリューションを提供する「伯鐳科技(Boonray)」がシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。インベスターは「拓金資本(Topping Capital)」と「23seed」だ。伯鐳科技創業者の胡心怡氏によると、資金はユビキタスロボティクスの「スマート鉱山」への活用に充てられる。

2015年創業の伯鐳科技は、各種ロボットの相互接続の研究により、クラスター化・スマート化作業や生成データのマイニングを実現している。同社は自動運転、スマートデータ収集、クラウド上のビッグデータに関するスマート分析機能などを含むスマートロボット作業プラットフォームを開発し、ロボット、AI、IoTなどの関連技術を通じて、既存業界にスマート運営ソリューションを提供することに特化。同社の技術はすでに太陽光発電所の無人監視やスマートマネジメント、さらには鉱山内の自動運搬で実用化されている。

発電所での活用例を挙げると、従来の太陽光発電所のオペレーションには以下のような問題点があった。

■人手に頼った巡回検査では効率が悪く、作業プロセスも不透明で、安全リスクや故障の判断は巡回職員の経験頼みとなっている。

■ドローンによる巡回検査では、収集したサーモグラフィーデータが不正確で、故障位置の特定に支障がある。航行ルールや操縦者に対する要求も高い。

伯鐳科技はこれらの問題に特化したハードウェア、ソフトウェア、サービスの一体化型ソリューションを提供しており、これまで民間企業を中心に約30社に対する業務実績を積み上げてきた。

伯鐳科技はドローン業界大手「DJI(大疆創新)」のパートナー企業でもある。ドローンには各活用シーンに合わせた自動コントロールモジュールやAIモジュールが搭載され、遠隔操作、自動航行、自動データ収集が可能。ヘリポートではドローンの自動充電ができる。

ドローンの操作用に開発された専用アプリでは、航行ルートの計画や航行エリアの限定、クラウド相互接続、アカウント制御などが可能だ。また画像処理技術とAI技術の活用により、ソーラーパネルの故障箇所を赤外線と可視光通信データで速やかに検出し、位置情報をもとに詳細な故障レポートを作成する。

伯鐳科技はこれらの技術をベースとして、より複雑な鉱山内の自動運搬にも業務を拡大した。「鉱山での運搬は閉鎖的なため、作業ルートが固定的で制御しやすい反面、労働環境は劣悪で危険が伴う。こうしたシーンこそ我々の自動化技術が価値を発揮する」と胡氏は述べる。

同社の「スマート鉱山」プランでは、まずドローンで鉱区全体をスキャニングし、3Dモデリング技術などにより高精度なマッピングを実施する。さらに鉱区内専用の高速インターネット網の敷設も行う。

運搬トラックにはカメラとLiDAR(ライダー)による複数のセンシングシステムと、「コンピュータビジョン+INS(慣性航法装置)+RTK-GPS」による高精度な位置情報測位システムが搭載されている。さらに障害物の識別、走行経路計画、リアルタイム操作システムで用いられるフィードバック制御などに関するアルゴリズムにより、トラックの自動運転を実現している。

加えて専用通路の開設やコントロールセンターの設置も行い、AIによるダンプカーのモニタリングとコントロールを実施する。作業員のヘルメットには測位システムとネットワーク接続装置を取り付けることで、位置情報と作業動線がコントロールセンターにある可視化プラットフォームに反映され、作業員の配置も可能となっている。

このスマートプランはすでに洛陽市の大型鉱山で商用化されており、30台の自動運転トラックにより月50万トンの生産量を実現。伯鐳科技は今後も関連技術の高度化とさらなる商用化を進めていく計画だ。

ドローン活用による「鉱区の無人化」はここ最近のトレンドであり、「慧拓智能(VIPioneers)」「易控智駕(Yikong Zhijia)」「踏歌智行(Tage I-driver)」などがすでに資金を調達済みだ。伯鐳科技は人とモノ、あるいはロボットとロボットの相互接続に特化し、異なるロボット技術の組み合わせにより、単一のロボットではなしえないサービスを実現しており、これが同社の強みとなっている。
(翻訳・神部明果)

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