電気自動車充電の悩みを解決 「EV Power」が充電代行サービスをリリース

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ここ数年、新エネルギー自動車の販売台数と保有台数が増加を続け、その充電設備に対するニーズも拡大している。

「中国能源局(National Energy Administration)」が管轄する「中国電気自動車充電インフラ促進連盟」情報部責任者の仝宗旗氏によると、今年6月末までに中国国内に設置された充電スタンドは100万カ所を超えた。うち公共の充電スタンドが41万カ所、個人所有の充電スタンドが59万カ所。充電スタンドと新エネルギー自動車の割合は1:3.5となる。

充電スタンドは増加しているものの、ユーザーの利用にまつわる課題は依然として多い。例えば、個人での充電スタンド設置が難しくなっていることや、充電時間の長さ、設置場所の偏り、高額な駐車料金、充電スタンドの故障などが挙げられる。

こうした問題を解決するのが、新エネルギー自動車の充電サービスを運営する「依威能源(EV Power)」がこのほどリリースした「E代充」という代理充電サービスだ。このサービスでは、指定の場所まで車を引き取りに行き、充電スペースまで運転、充電後に再び指定の場所まで車を届ける。現在、上海や深圳、北京でサービスを提供しており、今後は広州や成都、杭州など新エネルギー自動車の重点都市に拡大していく予定だ。

平日は大部分のユーザーが車をビジネスエリアに駐車するため、同エリアの駐車及び充電スペースが不足する。一方、住宅街の充電スペースには比較的余裕がある。そこで、ユーザーは車を「E代充」に預け、同社社員が充電スペースに余裕のある地域を選び、預かった車両に充電する。ユーザーは洗車やメンテナンスなどの付加価値サービスを同時に選択することも可能だという。

充電担当の社員は5年以上の運転歴があり、外部委託などではなく全て直接雇用している。ユーザーは車の位置と充電の状態をミニプログラムを通して随時、確認することができる。充電担当の社員が運転中に事故を起こし、社員の過失が認められた場合は、「E代充」が一切の責任を負い、車両の持ち主の翌年以降の保険料に影響することはない。

同社は個人ユーザー以外にも、「愛馳汽車(AIWAYS)」など複数の自動車メーカーと提携契約を結んでいる。メーカーが車両を販売する際に顧客に半年もしくは1年の充電サービスを付けることもある。

同社の市場開発ディレクター烏唯卿氏によると、「E代充」は今年の6月に上海と深圳の中心地で試験運営を開始。7月23日までに1日に最多で2200件のアクセスがあり、注文数は1000件を超えた。一回当たりのサービス時間は平均1.1時間、ドライバーは5分以内に注文を受け付け、対象車両の引き取りと充電後の引き渡しにかかる平均時間は26.4分だった。サービスの対象範囲は半径3~5キロ以内。ドライバーはピーク時で1日平均20件の注文を受け、事故率はゼロだった。CEOの陳振雄氏によると、過去3カ月のテスト段階でほぼ採算が取れたという。

依威能源の多様な充電設備(出典:依威能源公式サイト)

依威能源は2010年、香港で設立し2014年に中国本土へ進出。すでに28の都市で充電ステーション6000カ所と充電スタンド2万2330カ所を設置済みだ。充電スタンドのうち70%は住宅街、20%はオフィスビルやビジネスエリア、10%は商業施設周辺にある。

同業他社との競争に関して、陳氏は「他社は企業向けサービスに重点を置いているが、依威能源は個人のユーザーを対象としている」と語る。

同社はすでにシリーズCでの資金調達を完了している。これまでに調達した資金は数千万ドル(数十億円)にのぼり、広告大手「分衆伝媒(Focus Media)」や香港の上場企業などが出資した。
(翻訳・山口幸子)

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