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ナノテクノロジーを利用した光学部品の開発から販売までを手がける「至格科技(Greatar)」が、プレシリーズBで1億元(約20億円)規模の資金を調達した。出資を主導した華泰紫金(Huatai Zijin Investment)のほか、領源科創(Lingyuan Kechuang PE Fund)や万盛基業投資(Winner Key Investment)、方広資本(F&G Venture)が加わった。
至格科技はAR(拡張現実)グラス用の回折光導波路とマイクロ・ナノ光学技術に注力するハイテク企業だ。2019年7月に設立され、中心メンバーは清華大学精密機器学科の出身。回折格子設計、マスター回折格子の加工、ナノインプリントという独自開発のコア技術を確立しており、複数の電子機器ブランドが指名する世界でも数少ないサプライヤーとなっている。
同社はこれまで、垂直統合型デバイスメーカー(IDM)の立ち位置を貫いており、現時点でARデバイス用回折光導波路の設計から生産、テストに至る全プロセスを実現している。顧客の多様なニーズに応えるため、カスタマイズ開発力を活かしたサンプル設計やロット生産などのサービスも提供している。自社の自動化生産ラインは生産能力や製品の歩留まりなど主要な指標で着実に向上してきているという。
これ以前にもOPPOやシャオミなど大手スマートデバイスメーカーが戦略出資を行ってきた。今回、複数の大手投資機関から出資を獲得したことは、至格科技の製品や理念、開発スキル、AR光学という事業分野が産業界や資本市場に認められていることを示すものだ。
「AR用の回折光導波路技術は今後かなりの期間にわたり薄型軽量、超広視野、優れた色彩、高い発光効率がトレンドになるだろう。このため業界トップクラスの専門家やスタートアップ企業が、膨大なエネルギーをつぎ込んでさまざまな技術路線から研究開発を進めている」と至格科技創業者兼CEOの孟祥峰博士は語る。「私たちは回折光導波路産業に必要な3つのコア技術を確立したうえで、開発やイノベーションの手を緩めず、今年に入ってからも多くの性能指標で重要なブレークスルーを遂げてきた」
実際に同社は厚み、視野、色彩、発光効率の4分野で大幅な進展を見せている。単層の薄膜導波路は厚みが最薄0.4mmと、日常使いも可能な薄さを達成した。視野角は50度以上に広がり、空間コンピューティングに最低限必要な要件を満たせるようになった。また色度の不均一性は0.1に低減され(値が小さいほど色表示が均一、一般的なスマホの画面は0.02以下)、日常的な視聴に不自由しないレベルになったほか、屋外で使用できる十分な明るさも実現した。
調査会社スタティスタによると、AR市場全体の規模は2023年末までに2000億ドル(約28兆3800億円)を突破するという。英投資銀行DigiCapitalと米ゴールドマン・サックスもそれぞれ、AR業界で中核となるのがハードウエアであり、今後5~6年は市場の大きな割合を占めると予測している。調査会社IDCは、今後5年間の年平均成長率が70.3%に達し、26年末までにARデバイスの出荷台数は410万台に上ると見込んでいる。
孟CEOによると、同社で完成した全自動生産ラインでは8インチと12インチウエハーの生産に対応しており、回折光導波路は月産10万枚で、歩留まり率90%以上を目標にしている。すでに複数の顧客から回折光導波路のカスタマイズ開発や量産プロジェクトを受注しており、間もなく同社の光導波路が搭載されたARグラスが続々と発売される予定だという。
(翻訳・畠中裕子)
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