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中国の通信機器大手ファーウェイは23日、深圳本社で新たなAIプロセッサ「Ascend910(昇騰910)」およびAIフレームワーク「MindSpore」を発表した。徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は、9月18日に開催される同社の年次イベント「HUAWEI CONNECT 2019」でもAIチップの新製品を発表すると明かしている。
同社が「AI戦略」を打ち出してから10カ月。今回発表されたAscend910は、学習用プロセッサとしての役割を持つ。同社のDa Vinci AIアーキテクチャを採用し、7nmプロセスで製造された製品で、その処理能力はFP16(半精度)で256TFLOPS、INT8(8ビット整数)で512TOPSに達し、最大消費電力は310Wだ。今後は同社のクラウド事業に導入されていくという。
徐氏によると、学習・識別を行うニューラルネット「ResNet-50」に学習を行わせる場合、Ascend910とMindSporeを組み合わせると、現在主流の学習カードとグーグル社製ソフトウェアライブラリ「TensorFlow」と組み合わせた場合と比べ、ほぼ倍速のパフォーマンスが発揮される。
昨年10月に発表したAIチップ「Ascend310(昇騰310)」については、最大消費電力8Wという特性を生かしてスマートフォンやスマートウォッチなどの製品に搭載されている。また、Ascend310をベースとしたAIサービスプラットフォーム「Atlas」、MDC(モバイルデータセンター)、クラウドサービスなどが発表されている。
MDCは国内外の大手自動車メーカーに導入されており、エリア内運行バス、新エネルギー車、自動運転などの領域で協業が進んでいる。クラウド事業では、画像分析、動画分析、OCR(光学的文字認識)などのサービスを提供し、50以上を数えるAPIサービスでは1日当たりの呼び出し回数がすでに1億回を超え、年末までに3億回に達するとみられている。
AIフレームワークMindSporeについては、グーグル社製のTensorFlowやフェイスブック社製のPyTorchとの差別化を強調している。既存のAIフレームワークでは全シナリオに応用できる製品は存在しないが、MindSporeは端末、クラウド、エッジコンピューティングなどフルスタックに対応し、関連アプリの開発を容易にするほか、あらゆるシーンにおいてユーザーの個人情報が守られるという。
MindSporeは2020年第1四半期にもオープンソース化し、Ascendとの相乗効果によって、AIコンピューティングの複雑化や演算能力の多様化にも挑戦していく。Ascend以外にも、CPUやGPUなどのプロセッサもサポートしていくという。
同社が掲げる「全シーン対応のフルスタックAIソリューション」を実現するための基礎固めが完成した形だ。
徐氏は発表会で同社の現状にも触れたうえで、「米国による禁輸措置はファーウェイのAI戦略には影響しない」と明言。「禁輸措置のもとでもすでに生き残れるようになった。会社も従業員たちも、このような状況が長期的に続いても業務を行い、生活していける準備を整えた」と述べ、「現状は予想されたほど悪くはない」としている。
(翻訳・愛玉)
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