ARグラス「INMO」に初の大規模言語モデル、AIアシスタントをより身近に

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AR(拡張現実)グラスを手がける中国スタートアップ企業「影目科技(INMO Technology)」は、新製品の「INMO Go」を発表した。価格は1999元(約4万円)から。同製品は、大規模言語モデル(LLM)をベースにしたサービスが使える中国初の量産型ARグラスとなった。

ARグラスはこれまで主に翻訳、ナビゲーション、情報表示などで活用されてきた。影目科技の共同創業者・呂一飛CMOによると、INMO Goは百度(バイドゥ)の対話型AI「文心一言(ERNIE Bot)」や科大訊飛(iFLYTEK)、マイクロソフトなど大規模言語モデルの技術を利用でき、前述のシーンでのユーザー体験も向上させた。

AI(人工知能)とARを組み合わせることで生活がどのように便利になるのかは、以下の例が分かりやすい。海外旅行でARグラスをかけておけば、気後れせずに道をたずねることができる。現地の人の回答がARグラスのディスプレイで中国語(ユーザーの使用言語)へ変換され、スムーズなコミュニケーションが可能になるからだ。

INMO Goはコンテンツ・エコシステムを通じて、仕事中にはまるでスマートアシスタントのように、スケジュールやメッセージをリアルタイムで通知する。また、試験対策ではARグラスが外国語の講師役となり、TOEFLやIELTSの口頭試問をリアルに体験するのにも使える。

最大のセールスポイントは大規模言語モデルベースのサービスを使えることに加え、重さがわずか52グラムの薄型軽量デザインで日常的に使うメガネとほぼ変わらない点にある。近視用やサングラスにもなり、バッテリー駆動時間は7時間利用できる。

この薄型軽量デザインは影目科技の強みである軽量化と小型化の技術によって実現したもので、デバイスのサイズや消費電力などは高い水準に達している。さらにINMO Goは、回折光導波路の光学ソリューションとマイクロLEDディスプレイを採用した。

呂CMOによると、回折光導波路を採用したARグラスは従来のアレイ光導波路に比べて重さ、サイズ、解像度、輝度といった総合的な性能が向上するという。

ディスプレイには顕耀顕示科技(Jade Bird Display、以下JBD)のマイクロ LEDディスプレイを採用したことで、輝度は2000ニト(nit)に達し、屋内外のさまざまな環境でも問題なく使用できるようになった。これまでARグラスは輝度、サイズ、消費電力のバランスをどのようにとるかが最大の課題だったが、マイクロLEDディスプレイを採用することで、高い輝度を保ちながらも小型化と省電力化を実現した。

JBDの徐慧文COOによると、マイクロ LEDの光学エンジンは大豆の粒ほどの大きさで、消費電力がわずか数十ミリワットと、従来のディスプレイに比べ消費電力が桁違いに少ないため、軽量化を重視するARグラスにとって「究極」のソリューションになるという。

INMO Goは「究極」の光学およびディスプレイソリューションを採用しているが、価格は手頃だ。徐COOは、光学とディスプレイはARグラスの重要なコア技術だが、サプライチェーンが整っており、コストと良品率も改善していると説明した。

(翻訳・大谷晶洋)

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