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オフィス用イヤホンを主力製品とする中国のスマートデバイス開発企業「未来智能(Vision Intelligence)」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億〜十数億円)を調達した。天際資本(FutureX Capital)が出資を主導している。
未来智能は中国AI業界のリーディングカンパニー「iFLYTEK(科大訊飛)」から2022年1月に誕生した。共同創業者でCEOの馬嘯氏はiFLYTEKで世界初の中国語対応音声アシスタント「霊犀」を開発した人物だ。
米アップルが2016年にAirPodsを発売したのを契機に、完全ワイヤレス(TWS)イヤホン市場は飛躍的に拡大した。市場調査会社Counterpoint Technology Market Researchのデータによると、同年のTWSイヤホン出荷数は918万個だったが2020年には2億3300万個にまで増加し、年平均成長率は124%に達した。2021年の出荷数はさらに29%伸びて2億9960万個となったが、成長ペースは鈍化し、市場は徐々に飽和に向かいはじめた。
TWSイヤホン市場は2種類のプレイヤーがリードしていると馬CEOは考えている。1つはスマートフォンのアクセサリーとしてイヤホンを生産するスマートフォンメーカー、もう1つは製品の差別化でニッチ市場を狙うイヤホンメーカーだ。未来智能はオフィスや会議用途に絞った製品「iFLYBUDS Pro」「iFLYBUDS Air」「iFLYBUDS Nano+」などを相次いでリリースしている。
例えば未来智能がターゲットにしているのは、日々会議と議事録作成に追われる金融業従事者だ。彼らは出張も多く、空港や列車内で議事録を作成するのは不便だ。しかし、iFLYBUDSシリーズを使えばビデオ会議や電話でのやり取りをすぐに録音できる。未来智能の会議用イヤホンはポータブル録音機の機能も併せ持つ。現場での直接のやり取りも、イヤホンケースのフタを開け、スマートフォンにインストールしたアプリをタップすればすぐに録音がはじまる。
iFLYBUDSシリーズはiOSおよびAndroidデバイスの通話録音が可能なほか、Web会議ツールのTencent Meeting(騰訊会議)やTeams、Zoom、メッセージアプリのボイスチャット機能「微信語音」、オフィスツールのDingTalk(釘釘)や飛書(Feishu)などの会議録音に対応している。またリアルタイム文字起こし、リアルタイム翻訳、語気助詞の除去、自動セクション分けやレイアウト、話者認識など多くの機能を備える。文字起こしの正確度は98%、10言語・12方言、10業界の専門用語に対応し、AIアシスタントを使って会議内容の要約も素早く作成できる。
iFLYBUDS Proは、1回のフル充電で約50時間使えるほどバッテリー駆動時間が伸び、ノイズキャンセリング機能の消音力は−45dBになった。フラッシュメモリーが内蔵されているため左右のイヤホンで4時間分の通話が録音できるうえ、音質も大きく上がっている。
データセキュリティに関しては、中国サイバーセキュリティ審査技術・認証センター(CCRC)の認証を取得しており、データの保存から伝送まで暗号化処理を施してユーザーのデータやプライバシーを保護している。
未来智能は中国のECプラットフォーム大手「天猫(Tmall)」「抖音電商(Douyin EC)」「京東(JDドットコム)」に出店しており、とくに抖音電商では当初の期待以上の成功を収めた。馬CEOによると、毎年6月開催のオンライン通販セール「618」の実施期間に、1日200万個の取引が成立したという。今年後半からはオフラインや海外も開拓し、販路の充実に取り組んでいる。
(翻訳・山下にか)
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