激動のアフリカ、中国製品を爆買い

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激動のアフリカ、中国製品を爆買い

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アフリカは世界最後の巨大市場だと呼ばれており、ハーバード大学国際開発センターの予測では、2027年までにアフリカの7カ国が最も急成長する15カ国の中に入るという。また、アフリカは世界最後の10億規模のインターネット市場になるとも言われ、GSMAは2025年までにアフリカで接続されるインターネットの61%がスマートフォン経由になり、4Gの普及率が高まることで、5億人がECを利用することになると予想している。

このアフリカ市場に200万人、もしくはそれ以上とも言われる中国人が進出している。「ミレニアム世代がアフリカで1年間で40万元(約810万円)貯金できた」「中華料理屋を開業して家4軒分を稼いだ」など様々な稼げる話が飛び交う。中国で働くよりも稼げることが期待できるので、大学ではアフリカでの主要な言語の一つであるフランス語の専攻が人気となっている。では、今、アフリカで何が起きているのか。36Krで取り上げられたいくつもの現地レポから見えてきたことを紹介したい。

大量輸出の中国古着

中国で毎年数億着の古着が生まれ、その6割以上がアフリカへ送りだされている。アフリカ最大の古着取引市場があるケニアには、毎日中国から古着のコンテナが運び込まれている。中国国内での古着のリサイクルも大規模化しているため、その数は今後さらに増えていくだろう。「漢字が入っている洋服は現地人に喜ばれる」と紹介する記事もある。漢字が書かれた洋服を着用しているアフリカ人も多く見受けられ、相当流通していることが伺える。

中国の古着を着用するアフリカ人

流通しているのは服だけではない。出稼ぎ労働者の象徴とも言えるチェック柄のバッグ(類似したデザインのバッグがルイ・ヴィトンで販売され話題となった)もアフリカで人気で、中国の老人宅に今もある、蝴蝶牌ブランドのレトロミシンもアフリカに輸出され、洋服直しのビジネスに現役で稼働しているという。

左:出稼ぎ労働者の象徴のチェック柄バッグ 右:ルイ・ヴィトンのバッグ
アフリカで再利用される蝴蝶牌ブランドのレトロミシン

中国人がアフリカで立ち上げる新ビジネスとは

中国家電やスマホも大人気

中国製品は衣類以外でもアフリカの街でよく見かける。かつて多くの中国人が乗っていた黒い無骨な自転車「二八大杠」がアフリカで活躍している。スピードが速いわけでも、軽いわけでもないが安価で耐久性があり好評だ。中国人にとっては懐かしいブランド「パンダ(熊猫牌)」の小さなテレビがアフリカの家々のリビングルームで再利用され、パンダが庶民向けブランドなら、よりハイエンドなブランドとしてハイセンスやスカイワースなども人気だ。またスマートフォンやフィーチャーフォンでいえば、深圳発企業「伝音(Transsion)」が手掛けている「Tecno」「Itel」「Infinix」ブランドも広く普及している。

かつて多くの中国人が乗っていた黒い無骨な自転車「二八大杠」

アフリカで展開している会社といえば伝音のほか、河南省で誕生したウイッグブランド「Rebecca」はアフリカにも工場を持ち、アフリカのウィッグ市場のシェア60%を同社が占めるほどの人気っぷりだ。

アフリカの携帯市場を制覇した中国「トランシオン」、同国に注力しすぎない理由

さらに、以前は中古パソコンを中国国内よりもずっと高額で買い取ってもらえて、携帯電話を処分する際も持ってきた洋服や道具も中古市場で高値で買い取ってもらえたという。そうした経験や「アフリカで様々な中国商品が流通している!」「現地人が中国語が書かれた古着を着ている!」と紹介する記事からは、20年以上前に日本人が中国やアジア各国で見た景色、体験に非常に似ている。こうしたレポートが続々と出てくれば、アフリカに稼ぎに行こうとするのも一つの人生になるというのもわかるかもしれない。

中国人による現地での競争合戦

しかし中国人は人口が多い。多くの目に留まれば、そこで起業する人も増える。例えばタンザニアのある都市に湖南料理屋を開いたオーナーが、気づけば数百メートルの通りに3軒も湖南料理ができた。「山寨機」と呼ばれるノンブランドの携帯電話を売っていた業者は最初こそ数百台単位で売れて儲かったが、あっという間に中国人の競争相手が増え中国語が飛び交うようになり、過当競争による値下げが発生し、小さな個室で終わりのない修理ばかりをするようになった。

マッキンゼー出身の中国若手女性起業家、アフリカ・ケニアで活躍。アグリテックで農家の栽培支援

そして今後中国人同士の競争はインターネットの普及とオンラインショッピングの普及でより激しくなることが予想される。

アパレルを中心に扱うSHEINはモロッコに進出して以降、アフリカ市場でのショッピングアプリランキングで上位をキープし、南アフリカではGoogle Playで最もダウンロードされたショッピングアプリとなった。後を追うかのように、格安越境ECのTemuもアフリカ市場に進出する。 同サービスは日本と同様であれば、アパレルだけでなく様々な日用品を格安で販売することになる。ナイジェリア発のEC「Jumia」の11拠点の統計によれば、消費者はコストパフォーマンスの高い商品が人気で、インターネットを利用できるホワイトカラーを中心とした消費者層をターゲットにしている。不安定な電力を背景に、南アフリカではポータブル電源が人気で、ナイジェリアでは大きめのモバイルバッテリーが人気商品に。また中産階級の自動車需要から自動車の部品や付属品もよく売れている。

【特集】中国発越境EC「SHEIN」「Temu」が日本の若い女性に刺さる理由

中国のEC業界がかつて通った道をアフリカが今通っている。通信品質は安定せず、データ通信料金が高いため、人々は勤務時間中にパソコンからオンラインショッピングを行い、大きな金額の商品を買うのは配送リスクを伴い、道路インフラは不十分で都市部にしかモノが届かない。速度は中国ほど速くないとしても、やがて中国同様にこれらの問題が徐々に解決していくとECは普及し、所得を増やした人々は中国の様々なジャンルのコストパフォーマンスに優れた商品を購入することになりそうだ。

(作者:山谷剛史)

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