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科学技術が日々進化する現代では、肉も卵も人工的に「代替物」を作ることが可能になった。消費者にとって思いもよらない原料から代替物が作り出されることはもはや珍しいことではなくなっている。米ロサンゼルスに拠点を置くスタートアップ「Mi Terro」は、廃棄される牛乳を利用してTシャツを作る方法を編み出した。同社は近く中国市場にも参入する。
環境保護のためにできることは、ごみの分別だけとは限らない。Mi Terroは酪農場から調達した廃棄乳から、発酵や脂質除去などの工程を経てカゼインを抽出し、そこから得た繊維で紡績した糸と天然木を材料とするモダール繊維との混紡によりTシャツを作り出す。同社は米クラウドファンディングサイト「Kickstarter」において、2時間で2万6000ドル(約280万円)の資金調達に成功しており、支援者は世界30カ国以上に及んだ。
創業者のRobert Luo氏によると、この牛乳由来のTシャツは一般的なTシャツより柔らかく、伸縮性があり、通気性にも優れている。抗菌効果や体温調節作用も期待できるという。また洗濯時は他の衣類と同じように水洗いできる。
廃棄乳からTシャツになるまではおよそ2カ月半を要し、1枚当たりのコストはファストファッションの2~3倍にも上る。牛乳500ccで作れるTシャツは約4枚だ。1枚59ドル(約6400円)で販売しているが、消費者にとって「環境保護のために牛乳由来のTシャツを買う」行為はまだ一般的ではなく、購入者は環境保護に関心のある社会層に限られている。Luo氏によると、市場での啓蒙活動を進めるため、フェイスブックなどのSNSを通じたPR活動や、非営利団体(NPO)との提携も展開している。
Tシャツには「This tee is made from milk(メイド・フロム・ミルク)」「No more plastic in the sea(海洋プラスチックごみをなくそう)」といった環境保護を意識したメッセージがプリントされている。アモイの人気ブランド「C99」とのコラボレーションで、9月末から10月初旬に中国市場への参入も予定している。
同社は今後、Tシャツに加えジャケットやスカーフ、スリッパ、靴下などの新商品を売り出す計画も進めている。それには原料となる廃棄乳の調達がカギになる。現在は酪農場から直接調達しているが、将来的には代理店を通じて調達範囲を広げる方針だ。
Mi Terroは牛乳以外の廃棄原料を使った製品を集め、消費者が製品を1点購入するごとに10本の木を植える活動も行っており、これまでに3000本近い植林を行ってきた。Luo氏は「無駄をなくしたいという発想からスタートしたが、最終的に農産物のリサイクルを推進したいと考えるようになった。全てが環境保護につながれば良いと思う」と語っている。
(翻訳・鈴木雪絵)
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