ディープフェイクアプリ「ZAO」の炎上が示す顔認証技術の利点と課題

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「たった1枚の写真で、あの有名作品に出演できる」をうたい文句にしていたディープフェイクアプリ「ZAO」は、ローンチ後間もなく爆発的な人気を博し、中国のAppStoreでダウンロード数1位を獲得した。しかし、利用規約の「ユーザーがアプリにアップロードしたデータの権利は運営側に帰属する」という条項にユーザーたちが気付き、人気は瞬く間にしぼんだ。その後、運営会社の北京陌陌科技(Beijing Street Road Science and technology)は規約を改定し、データを使用する場合はユーザーに許可を求め、ユーザーからの削除要請にも応じると表明した。

ユーザーのプライバシーに抵触して炎上したアプリはZAOが初めてではない。以前、ニューラルネットワークによって顔が老化していくのをシミュレーションできるアプリ「FaceApp」も一時は広く流行したが、ユーザーがプライバシーへのリスクを懸念したためにブームは一気に消えた。

これをきっかけに中国国内では、顔認証技術によるプライバシーの侵害を問題視する声が上がっている。とはいえ、この問題ゆえに顔認証技術そのものに異議を唱えたり、それを否定したりするのはいささかやり過ぎであるともいえよう。

顔認証決済以外にも、顔認証技術や広義のコンピューティングビジュアル技術は様々な分野で進歩しており、たとえば以下の分野で大きな存在となっている。

警備・セキュリティ分野:顔認証技術は犯人逮捕や人身売買の摘発に大いに力を発揮しており、逃亡犯を逮捕した例は多い。

医療分野:顔認証技術を支えるコンピューティングビジュアル技術は医療分野でその価値を発揮している。人口の高齢化が進み、糖尿病患者が多い中国では、眼科医が数万人単位で不足している。医師に画像診断を依頼しても、結果が分かるまで1週間もかかる。AIによる眼底スクリーニングは、こうした問題を解決する大きな助けとなっている。

養殖分野:今後、コンピューティングビジュアル技術は養殖分野にも新たなビジネスチャンスをもたらすだろう。豚の顔認証技術はその応用の一つで、豚の個体管理や疾病予防、行動分析などにつながる。さらに、他の動物の顔認証技術にも進歩がみられる。最近の朝日新聞の報道によると、京都大学とオックスフォード大学が共同で研究を進めるAIプロジェクトでは、すでに十数種類の動物の顔を認証できる。関係者は、「この技術の応用が進むと、鶏肉を買おうとする人は、アプリでその鶏の生産地や食べたエサ、生涯歩行数まで分かるようになる」と話す。

このように顔認証技術には多くの利点があるが、プライバシーの侵害や流出などのリスクもはらんでいる。技術は利用の仕方によってもろ刃の剣となる。そのリスクに対する受け止め方は人それぞれだ。技術自体の使用を禁止すれば、プライバシーの問題はなくなるという極端な見方はすべきでないという考えもあれば、技術による利便性を享受する代わりに一部とはいえ自身のプライバシーを引き渡すことには高い代償が伴う可能性があり、その技術のデータベースやシステムが攻撃されたり、セキュリティホールが見つかったりしたらどうするのかといった否定的な見方もある。

個人情報の引き渡しには同意と制限が必要だ。例えば、どのアプリにもユーザー利用規約が設けられているが、条項が曖昧なユーザー利用規約は少なくない。技術とプライバシーの両立をいかにして図るかは、容易に解決しない長期的な問題だ。

ZAOのブームは過ぎ去り、顔認証技術にまつわる騒ぎもひと段落したが、顔認証技術とプライバシー問題の折り合いをつけられるかどうかが、同技術が今後も目覚ましい発展を続けられるか否かのカギを握る。この問題に関連する法律や規定はまだ制定されていないとはいえ、AI企業にはユーザーのプライバシー保護に関し、慎重さと自制が求められる。
(翻訳・虎野)

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