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インドの英字日刊紙「ザ・タイムズ・オブ・インディア」によると、米アップルはiPhoneの製造規模を拡大するため提携パートナーを通じてインドに10億ドル(約1070億円)を投資するという。
フォックスコン(富士康科技集団)がアップルの今回の投資における提携パートナーとなる見通し。インド南部のチェンナイにある同社工場がアップルの国際市場向け製品を製造する。このほかアップルの一連の部品サプライヤーもインドに投資し、現地での生産を推進するという。
アップルがサプライチェーンを多様化しようとしている努力が見える。
今月1日より中国から米国に輸出されるスマートウォッチやBluetoothイヤホン、テレビ、薄型テレビなどに15%の関税がかけられており、アップルのApple WatchやAirPodsもその中に含まれている。12月15日からはiPhoneも関税引き上げの対象となる見通しだ。
現在、アップルの製品の大多数は中国で製造されている。ロイター通信のデータによると、8月時点でアップルは世界4カ国に59のOEM工場を持っているが、インドに3カ所、米国とブラジルに2カ所ずつある以外の52工場が中国にある。アップルにとっては米国が最大の市場であるため、このままでは同社はより高い関税を負担することになる。
以前よりアップルは中国での製造に依存するリスクが高すぎるためサプライチェーンを再編するとしており、主要サプライヤーに対し15%~30%の生産能力を中国から東南アジアに移した際のコストへの影響を試算させていた。メキシコやインド、ベトナム、インドネシア、マレーシアが候補に挙がっていたが、情報筋によるとインドとベトナムがスマホの製造拠点として最も有力視されているという。
金融情報サイト「ヤフー・ファイナンス」の報道によると、アップルは早ければ今後12~18カ月の間にiPhone生産能力の5~7%をインドもしくはベトナムに移すという。
同時に、インドでの生産を拡大することはアップルと現地市場の関係を深めることにも役立つ。
まずインドは電子製品に20%の輸入関税を課しており、現地生産によってコスト削減が可能。次にインドの関連法規ではアップルが同国に小売り店舗を設けて製品を販売するには現地で部品の30%を調達する必要がある。そのため現在アップルはインドに直営店がなく、販売代理店でのみ販売を行っている。今回の投資によって直営店の設置が有望となった。
インドは人口が多く巨大なポテンシャルを秘めており、スマホの出荷台数がすでに世界2位となるなど、どの大手メーカーにとっても無視できない重要な市場だ。しかしインドにおけるアップルのiPhone販売台数は年に100~200万台と振るわない。テクノロジー市場調査企業「Counterpoint」の統計によると2017年のインドにおけるiPhoneの販売台数は320万台を記録したが、翌2018年には170万台と販売台数が半減している。
アップルはこのような現状に満足しておらず、現地シェア拡大のため昨年末にインドの責任者を交代。以前ノキアでコンシューマー事業COOを務めていたAshish Chowdhary氏が後任となった。現地での生産拡大や直営店の設置がシェア拡大に有効な選択かもしれない。
同時に、昨年のiPhoneでの失敗を踏まえて、今年新たに発表したiPhoneはハイエンドモデルでは値上げを行わず、スタンダードモデルのiPhone11では50ドル(約5300円)の値下げを行った。これもインドのような新興市場でiPhoneが人気を獲得するのに役立つだろう。(翻訳・山口幸子)
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