「Deepblue Tech」の自動運転バス AIによる付加価値サービスで差別化図る

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先日開催された2019年世界人工知能大会(WAIC)の自動運転展示エリアでは、パンダ模様に塗装された自動運転バスがひときわ注目を集めていた。開発を手掛けたAI企業の「深蘭科技(DeepBlue Technology)」は無人店舗システムでも知られる。同社は基礎研究に加え、開発成果の市場での商用化も重要視しており、既存のソフトウェアに関しては自社で生産拠点も抱えている。同社は小売業界のアップグレードを皮切りに、自動運転、スマートロボット、スマート交通、教育、金融、医療、バイオなどの分野にも事業を拡大している。

今年6月、広州市で計24枚のコネクテッドカー路上試験用ナンバープレートが交付されたが、バス用のナンバープレートを取得した企業は深蘭科技だけだった。8月末には、パンダ塗装バスが上海市の旅客運送用車両向けのコネクテッドカーナンバープレート第1号を取得し、同市で初めて実施された路車間通信(V2X)路上試験に合格している。このバスは現時点で、すでに国内各都市で試験走行を実施している。

自動運転バスの開発を選択したのはなぜか。深蘭科技の自動運転業務の責任者を務める技術副総裁の趙旭氏はいくつかの理由を挙げた。まず、大都市では1回当たりのバス乗車時間が平均30分以上、渋滞時には最長で2時間以上かかる場合があり、車内で時間をつぶせる娯楽や消費に関するニーズがあるものの、現時点では十分なサービスが提供されていないこと。次に、バス内の異臭や揺れといった理由から乗り心地は快適とは言えず、混雑時にはスリなどにも用心する必要があること。最後に、運営コストの40%を人件費が占めている上、ドライバーの運転スキルに対する要求も高い。加えて大部分のバス路線は赤字で、他の収入源を見出すことが切実に求められていることだ。

深蘭科技がバス開発・製造の「上海申竜客車(Sunlong)」と共同開発したパンダ塗装バスは全長12メートル、座席数が23席、乗車定員数は79名で、緊急時対応のため運転席が設けられている。深蘭科技が特許を取得しているスマート運転技術のほか、静脈識別システム、車載ロボット、音声対話機能、ターゲティング広告配信機能、乗客の異常行動監視機能、スマート緊急避難システムなどを搭載し、無人運転技術はレベル3~4の間となっている。同社によれば、自動運転バスの導入によって、バス1台につき毎月1~2万元(約15~30万円)の収入増加が期待できるという。

市場にあふれる他の自動運転関連企業による改造プランと異なり、深蘭科技はコンセプトを起点とした車両全体の設計と、各技術を高度に集積したトータルな自動運転プランを採用している。趙氏は「完成車のかたちで自動運転システムを提供できるのが我々の強み」と語り、車内でのAIによる付加価値サービスを実現するため、一部部品のカスタマイズも行い、新たな技術の検証を行っていると説明した。

深蘭科技のパンダ塗装バスは、上海市のコネクテッドカー試験区の封鎖エリア内で4000キロメートル以上の走行試験を実施、80%以上のテストシーンで時速40キロメートルを達成している。中国の現行の産業法令では、バスの設計速度は最高で時速69キロメートルと決められており、通常の公共バスの平均速度は時速約25キロメートルとなっている。深蘭科技は今後、パンダ塗装バスの走行性能を時速50~60キロメートルに引き上げた上で、量産と納入の準備を進める可能性が高い。

現在、中国の多くの都市が相次いで公道での走行試験を許可しており、封鎖式試験場を設置する都市はそれ以上に増加している。今年4月に北京市が発表した「北京市自動運転車両路上試験レポート(2018年版)」によれば、北京市ではすでに8社の自動運転車56台に対して道路臨時試験用ナンバープレートが交付されており、走行距離は合計で15万キロメートル以上に達しているという。また、北京のコネクテッドカーの路上試験用に開放される公道の距離は、2022年までに2000キロメートルに達するということだ。
(翻訳・神部明果)

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