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ファーウェイ(華為技術)は先ごろ、同社最大規模のICT業界向け年次イベント「HUAWEI CONNECT 2019」を開催した。今年は前年に比べるとインパクトが「小さい」内容となった。
昨年のイベントでは、あらゆるシナリオに対応するフルスタックのAI戦略を打ち出すと共に、独自に開発した「Da Vinci」アーキテクチャを採用するAIチップ「Ascend 310」と「Ascend 910」を発表した。今年1月にはARMベースのCPU「Kunpeng 916」と「Kunpeng 920」をリリース。Kunpengは、業界初となる64コアのデータセンター向けCPU、Ascendは学習と推論を行うチップで、いずれも業界最高水準の性能を誇る。
こうしたなか今年のイベントでも、KunpengとAscendをベースとしたAIコンピューティングエコシステムの構築を進めた。
エコシムシステム構築は、AIチップが初めて発表された時ほどのインパクトはないが、技術があってもエコシステムが構築されていなければ永続は難しく、同社に収益をもたらすこともないだろう。
ファーウェイは、自社のAIコンピューティングエコシステムを「一つのクラウド、二つの翼、ダブルエンジン」と表現した。クラウドは「ファーウェイ・クラウド」、翼はインテリジェントコンピューティングとインテリジェントデータおよびストレージ、エンジンはKunpengとAscendのAIチップを指す。エンジンをエコシステムの基盤として翼が作業を担い、クラウドがサービスを提供するイメージだ。
同社は、KunpengとAscendのAIチップを単独では販売せず、マザーボードやサーバーなどの製品、サービスとして提供する。インテリジェントコンピューティング事業部門プレジデントの馬海旭氏は、適切な時期が来たら、Kunpeng搭載の「TaiShan」サーバーを販売する完成品市場から撤退し、ボードとモジュールの製造を中心にKunpengエコシステムの向上へ注力するとの計画を明らかにした。
今月19日には、Kunpengマザーボードを全て開放すると発表。また、「Atlas 800」AIアプライアンス、「Atlas 300」AIアクセラレーターカードもリリースしており、AIトレーニングクラスター「Atlas 900」やAIエッジステーション「Atlas 500」と合わせたAtlasシリーズが出揃い、クラウド、エッジ、デバイスのオールシナリオ対応が可能となった。
ファーウェイは、サーバOSを2019年12月31日に、ネイティブデータベース「GaussDB OLTP」を2020年6月に、あらゆるシナリオに対応するAIコンピューティングフレームワーク「MindSpore」を2020年第1四半期にオープンソースとする計画だ。
社内ではすでに、10万台を超えるKunpeng及びAscendデバイスを配備し、研究開発、生産、事務、納品、販売まであらゆるシナリオに対応しているという。
ファーウェイのAIコンピューティング事業は立ち上がったばかりで、商用化とエコシステム構築の初期段階にある。市場は非常に大きく成長も速い。「Kunpengコンピューティング産業発展白書」で同社は、2023年までに、コンピューティング産業エコシステムが世界で2兆ドル(約214兆円)規模にまで拡大し、うち中国市場が1兆1億元(約16兆円)を占めると試算した。
(翻訳・神戸三四郎)
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