中国通信機器大手のファーウェイ（華為技術）は昨年、国際電気通信連合（ITU）のPartner2Connect（P2C）デジタル連合に加盟し、2025年までに世界80数カ国の遠隔地に暮らす1億2000万人がデジタル社会にアクセスできるようにすることを約束した。今年10月までに、ファーウェイの情報通信技術（ICT）ソリューションにより約80カ国の遠隔地に住む9000万人近くがデジタル社会と繋がった。

5Gやクラウドコンピューティングなどに代表される情報通信技術は、農村のデジタルインフラをレベルアップさせるための基盤となる。中国や欧州など各国が、デジタル化を通じた農村の生活サービスの改善や持続可能な発展の実現に取り組んでいる。

デジタル農村の建設により、中国農村部のインターネット普及率は大幅に向上し、都市と農村の差は縮まりつつある。特に雲南省では目覚ましい成果がみられている。これはファーウェイと三大通信キャリアの中国電信（チャイナ・テレコム）、中国聯通（チャイナ・ユニコム）、中国移動（チャイナ・モバイル）の協力によるものだ。

雲南省は山がちで、住民が住み着いて自然に形成された「自然村」が点在している。こうした地理的状況を鑑み、ファーウェイは三大キャリアと協力し農村地域の通信インフラ整備プロジェクト「村村通」として5Gの高速通信網の構築に取り組んだ。5年を経て、雲南省内の行政村（行政区画としての村）における5G普及率は100％に達した。自然村においても4Gもしくは5Gの普及率が95％を超え、雲南省全人口の98％に広がった。

和順古鎮のスマートツーリズム

中国の4A級観光地である雲南省の和順古鎮では、2020年からスマートツーリズムプロジェクトが始動した。5Gネットワークの高速・大容量といった特徴を生かして、観光分野のデジタル化とスマート化が進んでいる。

和順景観区にはハイビジョンカメラや緊急通報システム、環境観測システム、AIスマート誘導システムなどを整備し、5G通信で転送した高品質データをスマートプラットフォームに集めてスマート管理を実現した。5Gや3Dデジタル映像技術、AR（拡張現実）・VR（仮想現実）技術によって、かつての町並みや四季折々の景色が観光客の前に姿を現した。

雲南省スマートツーリズムの効果で、この地域にレストランが110店、商店が1000店以上、旅館が500軒以上でき、観光に関連した4000人以上の雇用を生み出した。和順古鎮が位置する騰衝市が2022年に受け入れた観光客は延べ1635万4300人と前年比で47.8％増加し、旅行業界の売上高は178億1200万元（約3700億円）で、38.3％増加した。

「中国一のコーヒー村」新寨村

同じく雲南省の保山市新寨村は中国の地理的表示（GI）登録されたコーヒー「保山小粒珈琲」の原産地だ。中国移動はこの村全体をカバーする5Gネットワークを構築し、コーヒーの品質管理、電子商取引（EC）やライブ配信、観光業の発展をサポートした。

5Gが支える農業生産観測システムは作物の生育環境を監視し、コーヒーの品質を保証する。オンラインとオフラインを融合させて販売チャネルが増えたのも5Gのおかげだ。

新寨村には現在1万3600ムー（約900ヘクタール）のコーヒー畑があり、全耕地面積の95％を占めている。年間生産量は4000トン以上、生産額は年間1億2000万元（約25億円）で、年間収入は7000万元（約15億円）を超える。スペシャルティコーヒーを栽培する農園が4つ、コーヒー関連企業10社が営業し、年間10万人以上の観光客を受け入れている。

デジタル技術で雲南省の村の様子は一変し、持続可能な発展の村になった。まさにファーウェイのICT責任者である周軍氏の言葉の通り「デジタル技術を使って誰もがデジタル化の恩恵を受けられるデジタルインクルージョンを推進し、持続可能なデジタル世界を実現」したのだ。

＊2023年11月30日のレート（1元＝約21円）で計算しています

（翻訳・36Kr Japan編集部）

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