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中国や米国でこのところ、ショートドラマに特化した動画配信アプリが人気を呼んでいる。中国デジタルコンテンツ大手の中文在線集団(COL Group)傘下の米Crazy Maple Studioが展開するショートドラマアプリ「Reelshort」はこのほど、米国のIOS版アプリのダウンロード数ランキングで、エンターテインメント部門の1位に輝いた。同社が配信する連続ショートドラマ「Fated To My Forbidden Alpha」は、TikTokで1話あたりの再生回数が3000万回を突破している。
連続ショートドラマは、冒頭の3〜5秒で視聴者の目をくぎ付けにし、1話が1〜2分で完結する。忙しい現代人が隙間時間を楽しむのにぴったりなコンテンツだ。1話ずつショートドラマを見続けるうちにテンポよく展開するストーリーに引き込まれ、登場人物にどんどん感情移入し、最終的には長編ドラマ1本分のコンテンツを見終わっている。
生成AI(人工知能)による広告動画やショートドラマを手がける「CreativeFitting」の創業者で最高経営責任者(CEO)の朱江氏は「以前は小説や漫画、映画などを通して想像世界を体験していたが、現在は動画の視聴を好む人が多くなった。文字情報が主体のコンテンツは現代の消費習慣に合わなくなっている」と話す。
とはいえ、ショートドラマ市場には多くの課題がある。1つ目は撮影コストの高さだ。1話1分半、全60話前後の現代ドラマを欧州や米国、オーストラリアで撮影する場合、特殊効果や大がかりなシーンのない普通の現代ドラマでも平均15万〜20万ドル(約2200万〜2900万円)のコストがかかる。2つ目に人材不足がある。多くの企業が市場シェアを競うなか、質の高いショートドラマを安定的に提供するには、専門性のある人材を自社に集めなければならないのだが、それがなかなか難しいという。
生成AIなら生産効率が高く、実際の俳優を起用して撮影するよりも平均的なコストがはるかに安くすむ。しかも、ショートドラマにはある程度決まったスタイルがあり、制作プロセスも標準化されているため、AIを活用する余地が大きい。
CreativeFittingは、そこに注目して事業を展開している。比較的シナリオが単純な広告動画を手始めに、ストーリーが複雑なショートドラマへと広げている。また、AIによるショートドラマが集まるアプリの発表を計画し、最終的には次世代型のコンテンツプラットフォームの構築を目指すという。
朱CEOは「広告動画からショートドラマに移行するのは容易ではない。連続ドラマでは、登場人物のキャラクターや服装、背景、小道具などに連続性と統一性を持たせなければならない。人物の表情や動作、背景なども正確にコントロールする必要がある」と指摘しつつ、「当社が開発した動画生成モデルは、統一性とコントロール性の問題を解決した。生成された動画は品質が大きく改善した」と説明した。CreativeFittingが手がけたあるAIショートドラマは、ソーシャルメディアで100万回以上再生されたという。
同社はこのほど、プレシリーズAで九合創投(Unity Ventures)と衆麟資本(ZCAPITAL)から数百万ドル(数億円)を調達した。今後は海外のショートドラマ市場に進出する計画で、近く米国市場向けにAIショートドラマの配信アプリを発表する予定だという。
*2023年12月8日のレート(1ドル=約147円、1元=約20円)で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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