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中国の電子商取引(EC)大手「拼多多(Pinduoduo)」の時価総額が11月29日晩、一時1924億ドル(約27兆3000億円)に急騰し、中国EC最大手アリババの1918億ドル(約27兆2000億円)を超え、米国上場した中国企業の時価総額でトップに立った。アリババは創業してすでに24年になるが、拼多多は創業からわずか8年でトップに躍り出た。しかし、当日の取引終了までに拼多多の株価の上げ幅は狭まり、アリババの時価総額が逆転した。
この株価の動きは拼多多の2023年7~9月期の業績を受けたものだ。前日に拼多多は23年7~9月期の決算を発表し、売上高は前年同期比94%増の688億4000万元(約1兆4000億円)、純利益は同47%増の155億3700万元(約3000億円)だった。売上高と利益のいずれも市場の予想を大きく超え、拼多多の株価は急騰した。
拼多多創業者の黄崢氏は2016年の創業当初にメディアの取材を受けた際、アリババは中国のEC大手として君臨しているが、トラフィックの分布、ユーザーとのコミュニケーション、国際化において新しい方法を取れば、また違うアリババになれるチャンスがあるとの考えを示した。
それ以降、拼多多はSNSを活用したソーシャルEC、地方都市や農村などの需要に特化したビジネスモデルや戦略で急成長し、設立から3年足らずで上場を果たした。GMV(流通取引総額)は4年半で1兆元(約20兆円)を超えたが、アリババはこの数字を達成するのに14年かかっている。2021年8月には拼多多のアクティブバイヤー数が8億4990万人という驚異的な規模に達し、アリババに迫った。
Temuが第2の成長曲線に
拼多多の2023年7~9月期の業績は予想を大きく上回り、取引手数料収入は前年同期の3倍、前四半期の2倍に増加した。その裏には驚異的なスピードで拡大する越境EC事業Temuの存在がある。
Temuは拼多多の低価格の戦略に加えて「全面委託モデル」を採用、1年余りの間に北米、オーストラリア、欧州、アジアなど40余りの国と地域に進出し、扱う荷物は1日40万個以上に達する。荷物は半分以上が米国向けで、米国市場でのSKU(最小在庫管理単位)は200万以上、今年中には400万に達すると見込まれる。
公表されている情報によると、 Temuの売り上げは主に2つの部分から成っている。一つはサプライヤーの納品価格と実際の販売価格の差額で、手数料収入に計上される。もう一つは倉庫管理、越境取引、幹線輸送から配送の物流全体にかかる費用の徴収だ。このほか、Temuは海外でも広告を投入した。36Krでも、Temuが今年7月からFacebook、Googleに1日1000万ドル(約14億2000万円)の広告費を投じていると報道した。
Temuの販売額の急増に伴い、売上高も伸びている。36Krは以前、Temuの23年上半期のGMVが30億ドル(約4000億円)に迫り、7~9月期には販売額が50億ドル(約7000億円)を突破したという複数筋からの情報を報道した。ブラックフライデーやクリスマスの売り上げを加味すると、GMVは年間150億ドル(約2兆1000億円)の目標を超えるだろう。
Temuで帽子を販売しているメーカーは、今年のブラックフライデーでは去年の販売個数の5倍の在庫を準備したと話す。今年の年間販売額は去年の2倍近くになり、そのうちTemuでの売り上げが60~70%、アマゾンが10%前後と予想しているという。
すさまじい成長をみせるTemuの野心はさらに大きく、来年のGMV目標は300億ドル(約4兆3000億円)を掲げている。
*2023年12月15日のレート(1元=約20円 1ドル=約142円)で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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