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中国の観光経済は2023年、回復が加速する中で三線都市(地方の主要都市)や四線都市(地方の中小都市)が観光の「ダークホース」となり、小都市の観光商品の予約数が大幅に増加した。
旅行サイト大手「去哪児網(Qunar.com)」のビッグデータによると、昨年の中秋節・国慶節連休(9月29日~10月6日)期間中、邯鄲(河北省)や洛陽(河南省)、柳州(広西チワン族自治区)、淮安(江蘇省)、アクス(新疆ウイグル自治区)、信陽(河南省)など三、四線都市におけるホテル予約数の対前年同期比増加率が2019年の8~10倍以上となった。また、2023年12月30日~24年1月1日の元日連休には従来人気観光地ではなかった小都市で多くの観光客が年を越し、ホテルの予約数が前年同時期の2.4倍に増えたほか、飛行機の予約も舟山(浙江省)や湛江(広東省)に向かう便が前年同期比2.4倍に、アルタイ(新疆ウイグル自治区)行きが同70%増、白山(吉林省)行きが同60%増になった。
ビッグデータの分析では、「小衆都市(あまり知られていないが独特の魅力を持つ都市)」へ行く「反向遊」(逆張り旅行)が若者の間で広まり、多くの若者がもはや大都市の人気スポットや従来の観光地をやみくもに追い求めることなく、個性や楽しさを求め、コストパフォーマンスを重んじていることが明らかになった。また、何か心を動かされる理由があればすぐに出かけるという姿勢によって、三、四線のマイナーな観光都市が新たな「穴場スポット」になっている。例えば、あらゆる物を串焼きにすると言われる錦州(遼寧省)で「串焼きの最高峰」の魅力を味わったり、重要な工業都市である柳州で本場の螺螄粉に舌鼓を打ったり、中衛(寧夏回族自治区)に行って砂漠でベッドから星空観賞をしたり、古都洛陽で漢服に身を包みちょうちんを片手に夜遊びをしたりといった具合だ。洛陽でこのような没入型の旅行を楽しんだ女性・小雅さんは「夜の古都で、美男美女が唐代の衣装に身を包み、きらめく明かりの中で盛唐の時代を想像しながら、民族文化を熱愛し伝承するというのはものすごくクールなこと」と興奮気味に語った。
中国青年報傘下の調査・コンサルティング機関、中国青年報社社会調査センターが昨年9月に若者1333人を対象として実施した調査では、79.7%がグルメのためなら遠く離れた街にでもためらうことなく行くと率直に答えた。実際はグルメに限らず、ちょっとした理由さえあれば行ったことのない都市でも赴くのだろう。そしてまた、あえて知らない小都市に行き、計画も立てず、人気スポットも訪れず、「心をリラックスさせる」という旅行の本質に回帰する若い観光客も多いという。
広東省深圳市で働く「90後」(1990年代生まれ)の劉禹銘さんは、「普段は仕事でとても疲れるので、週末は人との接触を減らして自然を満喫したい」と、ほぼ毎週末旅行に出かけている。小都市を訪れるのは「独特の魅力があり、街を歩いているとペースが自然とゆっくりになり、素朴な人々や安い物価、ゆったりとしたリズムが浮ついた心を静めてくれる」からだという。業界関係者も、旅行の意義に対する市民の考え方が変わるにつれて、人々は気楽で自由なスタイルによって自分にとって最も心地よい旅行のあり方を見つけ出し、より多くの感情的な価値を得たいという願望を強めていると指摘した。
去哪児網ビッグデータ研究院の責任者は「北京や上海、成都、広州、杭州などの人気都市に加えて、若い人たちの間では邯鄲や洛陽、柳州、淮安、伊春(黒竜江省)など、リージョナル空港がある小都市を旅行先に選択する傾向が強まっている」との見方を示した。低いコストで大きな精神的収穫が得られる、「小さいながらも美しい」小衆都市への「逆張り旅行」は、若者の観光の新たなトレンドになりつつある。(新華社北京)
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