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4年前、新型コロナ禍の感染防止対策を理由に中国はビザ免除措置を停止し、入国のハードルが大きく上がった。3年に及んだコロナ禍が収束し、2023年秋以降は欧州や東南アジアの国々に対し、ビザ免除。ただ、日本はというとトランジット目的での渡航や深セン、廈門、珠海への特区旅行ビザなど簡易的に取れるビザはあるものの、中国渡航には基本的にはビザ取得が求められている。日本人が現在ビザなしで事前の申請が必要なく渡航が可能な唯一の場所が海南島だ。渡航解放国からの直行便、もしくは香港を経由するなどの制限はあるものの、海南島はコロナ禍前から日本を含めて計59カ国の国に対してビザなし渡航を開放している。 2023年の12月に香港からビザなしで海南島に渡航してきたのでその様子をレポートしたい。
海南島は九州を少し小さくしたくらいの大きさの島で、北部にある海口と南部にある三亜が二大都市だ。三亜はハワイと近い緯度にあり、ビーチが広がる様子から中国のハワイと呼ばれており、冬はリゾートを求め多くの人が訪れる。近年は海南島を第二の香港にしようという中国政府の思惑の下、免税政策が行われており、2022年10月には海口に世界最大の免税店、cdf海口国際免税城がオープンした。
免税店大手の中免集団が経営するcdf海口国際免税城の面積は28万平方メートルで東京ドーム約6個分で、約800店舗が出店している。広いだけあってCHANELやGUCCIなどのラグジュアリーブランド、茅台酒や五糧液といった高級中国酒などメジャーなブランドはほぼそろっていた。中国の新華社通信によると、cdf海口国際免税城は2022年10月の開業から1年で450万人以上の客が訪れたそうだが、筆者が訪問した2023年12月上旬の日曜日の昼頃は客足がまばらで、どの店も客が数人いるかどうかという状態だった。香水や酒など、一部の商品を香港のオンラインショップのサイトや中国のEC「タオバオ」と比較してみたが、価格としてはほぼ同じか免税店の方が少し高いこともあり、今の中国の景気も鑑みるとわざわざ大挙して海南島まで訪れるメリットがないというのが、閑散としている理由なのかもしれない。ちなみに免税を受けるには海南島から中国大陸に戻ることが必要だそうで、筆者が購入しようとした香水は、香港に飛行機で戻るのであれば免税対象外と言われてしまった。
異国の街並み楽しめる騎樓老街
海口最大の観光スポットは、中心部にある騎樓老街だ。台湾や中国南方地域で見られる騎樓は1階部分は通路になっていて、アーケードのような造りが特徴。太陽の日差しや午後の夕立を避けられる、現地の気候に理にかなった構造になっている。騎樓老街には土産屋やレストラン、ココナッツを使ったお菓子やドリンクスタンドなどが集まっており、街並みを眺めたり、写真を撮ったりして散策するのが楽しい場所である。
海南島での食事といえば、その名前から海南チキンライスが真っ先に思い浮かぶ。諸説あるものの、この料理は海南島出身の華僑がシンガポールなどの東南アジアで広めたもので、厳密にはご当地料理というわけでもない。海南島の文昌鶏は名物の一つであるので、その鶏肉で海南チキンライスを作ればもちろん美味いのではあるが。
ココナッツミルクにココナッツアイス、胡麻団子やタピオカ、緑豆、タロ芋などを入れた海南スイーツの清補涼、海に囲まれていることを活かし、蟹やエビ、アサリなどがたっぷり入った海鮮粉など、おいしい料理はたくさんあったが、筆者が最も感動したのは海南粉だ。ライスヌードルに肉味噌、もやし、ピーナッツ、酸菜(高菜の漬物)などを入れ、餡かけたれをかけた混ぜそばのような食べ物で、さまざまな具材の味や食感が混ざり最高の味わいだった。小サイズでおおむね8元(約160円)、量も十分だ。麺を食べ終わったら、貝で出汁(だし)をとったスープを少しお椀に入れて、お椀の底に残った餡掛けタレと混ぜて飲むと、塩分と貝出汁がよい締めのスープになる。
2024年1月時点で日本からの直行便がないのが残念だが、わざわざビザ申請をせずとも入国・15日間滞在ができるのが海南島の最大の良さだと言える。海口以外にもリゾート地として有名な三亜、少数民族である黎族(リー族)が暮らす地域など魅力も多い海南島、中国旅行の候補地に入れてみてはいかがだろうか。
作者:阿生
東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng
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