年間売上200億円の自転車アイテム「ROCKBROS」が車体に参入。日本にも店舗開設へ

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中国ではこの数年、コロナ禍やアウトドアスポーツブームで自転車業界がかつてないほどの成長を見せている。特に高級自転車の国内販売は2022年に30%以上増加した。サイクリストは自転車のためなら数千元(数十万円)、数万元(数百万円)も惜しまず、さらにヘルメットやサングラス、バッグ、ボトル、リアライト、スマホホルダーなどのアクセサリーにまで気配りする。日本の老舗ブランド、シマノの商品が中国で品切れになったこともある。

浙江省義烏市の自転車用アクセサリーブランド「ROCKBROS(洛克兄弟)」は、アクセサリーの販売だけで年間売上高10億元(約210億円)という驚異的な業績を実現したが、意外なことに、そのうち70%は海外事業によるものだ。こうした実績の裏側には、サイクリングを熱愛し、市場のチャンスを敏感に察知した同ブランド創業者の張新剛氏の存在がある。

張氏は浙江大学を卒業後、サイクリング好きが高じて2005年にサイクリングクラブを設立し、台湾の大手自転車メーカーであるジャイアントの販売代理店となった。そして自転車愛好家たちが海外からアクセサリーを輸入して購入する際に価格が倍にもなっていることを知り、自ら越境ECに乗り出した。2010年、eBayやアリエクスプレス、アマゾンといった越境ECが中国でまだあまり注目されていなかった頃、張氏は義烏市でノーブランドの自転車用アクセサリーを調達し、eBayで販売した。当時はライバルがおらず、中国で70~80元(約1400~1600円)の商品が海外では50~60ドル(約7300~8800円)で売れたという。こうして張氏は瞬く間にまとまった資金を手に入れた。

事業が拡大するにつれ、張氏はブランドの代理店というビジネスモデルに限界を感じるようになり、オリジナルブランドを持つことを決意した。2013年にROCKBROSを立ち上げ、ドイツ、日本、米国などにも支店を開設して各地域に向けたサービスを開始、海外市場での認知度を上げ、高い市場シェアを手に入れた。張氏はECプラットフォームを選ぶにあたってまずアマゾンを選択し、一般庶民向けに手頃で質の高い商品を提供することにした。アマゾンで初めて販売した商品はサイクリンググローブで、初年度に約7万組を売り上げた。

ROCKBROSのアイテム数は現在2万点以上、毎月10点以上の新商品を発売するため、サプライチェーンは多品種・小ロットに対応するフレキシブル生産が必要になる。また、サプライチェーン管理にも長けており、サプライヤーとの緊密な連携を重視して迅速に商品を開発し市場競争力を確保する。サプライヤーに対し毎月期日通りの支払いと適正な利益配分をすることで、設備やスタッフの投入を促し、商品の継続的な刷新を支えている。

サプライヤーとの協力を基盤に、2015年からサプライチェーンを製造分野にまで拡大し、現在は4工場を運営する。創業から13年、ROCKBROSは自転車用アクセサリーの販売で毎年30%の成長を続け、業界のトップブランドとなった。

海外市場で成功を収めたとはいえ、張氏は現状に満足していない。自転車車体市場のポテンシャルが高いと考え、車体分野にも事業を拡大することを決めた。実店舗で車体を販売し、自転車関連商品とサービスをくまなく提供する計画だ。こうした事業転換戦略により、仏デカトロンのような、サイクリング、キャンプ、トレッキング、スキーなど各種アウトドアスポーツを網羅する世界的ブランドを作り上げたいと考えている。

今後、日本やオーストラリアのメルボルン、米国ニューヨーク、ドイツのハイデルベルク、中国では浙江省の杭州市と義烏市に実店舗を開設する。これらの実店舗はビジネスモデル実験の試金石であり、ROCKBROSがアウトドアブランドへ転身するための重要な第一歩でもある。

*2024年1月30日のレート(1ドル=約147円、1元=約21円)で計算しています

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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