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中国の地図サービス大手「高徳地図(AutoNavi)」が、新事業をローンチした。有名観光地で音声ガイドを提供するサービスだという。
地図サービス、配車などのモビリティサービスに加え、新たにコンテンツ系のサービスとして観光地音声ガイドを立ち上げた高徳地図。自社の強みである位置情報とかけ合わせ、従来の音声ガイドとは一味違った内容となっており、まずは故宮、頤和園など国内500カ所でサービスを提供する。10月初週の「国慶節」の大型連休では、著名な骨董収集家による故宮の音声ガイドをスタートした。
長期休暇の時期はどこの観光地も旅行客でごった返し、じっくりと見て回るのは容易ではない。まして、訪れた場所の文化的価値を理解する機会は薄い。高徳地図が提供する音声ガイドは、ユーザーの現在位置を特定してその場所に最適な情報を届けるほか、ユーザー個人の興味や関心に沿った内容をレコメンドしてくれるという。音声ガイドを提供する人物も各分野の著名人やKOL(インフルエンサー)、ナレーターなどを起用しており、歴史・科学・物語・伝説など多岐にわたる内容構成だ。
高徳地図は地図やナビゲーションといった自社の中核技術をもとに、多様な事業シナリオを描いている。
アリババグループの100%子会社である高徳地図はデイリーアクティブユーザー(DAU)が1億人以上に達している。しかし、地図アプリはあくまで一つのツールであるため、ユーザー数が多いと言っても、必要な時にだけ使われ、使い終わったらすぐに利用は終了となる。今回の音声サービスは、アプリが単なる道順検索で終わることなく、利用定着率をより高めるために考案された。
ただし、各ユーザーに適切なコンテンツをレコメンドするにはコンテンツそのものを豊富にする必要がある。つまり、コンテンツ制作者の確保が最も重要だ。同社はすでにコンテンツ提供者との提携を進めているが、劉振飛総裁によると、今後は音声コンテンツのオープンプラットフォームを構築し、コンテンツ制作に必要な録音ツールなどを提供して、広くコンテンツを募っていく方針だという。
音声ガイドは有料サービスのため、その収益は高徳地図とコンテンツ制作者の間で分配していくことになる。コンテンツの審査はアリババグループで審査を担当するセキュリティチームが行う。
同社副総裁の王桂馨氏は、「位置情報サービスに関して我々は他社の追随を許していない」とし、Himalayaのような音声コンテンツを扱うアプリや、「馬蜂窩(mafengwo)」のような旅行情報口コミ投稿サービスとは一線を画す存在だと自信を示す。むしろ、音声系アプリとは提携を進めていきたいとしている。
高徳地図の最近の戦略としては、モビリティサービスを集客の入り口としながら、アリババとの協業関係を深めることに注力しているようだ。例えば、同じアリババ系列の口コミサイト「口碑(Koubei)」やフードデリバリーサービス「餓了麼(Ele.me)」を自社の地図アプリと連携させ、店舗検索の際に店舗までの経路のほかに店舗の公式ページを確認したり、予約や順番待ちの申し込みをしたり、さらにはデリバリーの注文までワンアプリで一気に処理できるようにしている。
高徳地図そのものは決してコンテンツ分野に強いわけではない。しかしアリババグループの強力な後ろ盾がある限りは、さらなる可能性も模索できるだろう。
(翻訳・愛玉)
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