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中国の自動車市場では現在、比亜迪(BYD)をはじめとする新エネルギー車(NEV)メーカーが台頭し、日本車勢が苦しい立場に追い込まれている。
日本経済新聞によると、日産自動車は中国の自動車生産能力を最大で3割減らす検討に入り、ホンダも中国の生産能力を2割減らす意向だという。日産は年産能力を現在の160万台から110万台へ、ホンダも150万台から120万台に減らすとみられる。
今回の減産決定の背後には、価格競争力を高める中国車メーカーの存在がある。なかでも、プラグインハイブリッド車(PHEV)を打ち出すBYDは価格を10万元(約200万円)程度に引き下げ、低〜中価格帯市場を主力とする日本車メーカーに大きな影響を与えている。
日産の中国合弁会社、東風日産が打ち出すコンパクトセダン「軒逸(シルフィ)」は、2020〜23年の4年連続でガソリン車の販売台数トップを維持した。しかし、23年のNEVを含む自動車販売台数では、BYDのセダン「秦PLUS」がシルフィを抜き、NEVの強さを見せつけた。
日本のガソリン車は、燃費性能や耐久性の高さで勝負してきた。しかし現在、その優位性がPHEVに脅かされ、中国市場で激化する価格競争にも直面している。
BYDなど中国NEV勢が仕掛けた価格競争に対抗し、日系のガソリン車を取り扱うディーラーは日産のシルフィを6万9800元〜(約150万円〜)、トヨタのカローラを8万6800元〜(約180万円〜)に引き下げた。しかし、日本車のシェア縮小に歯止めはかからない。
2023年の中国販売台数は、日産が前年比20%減と大きく落ち込み、トヨタやホンダも同程度の減少となった。24年2月の中国販売台数では、BYDの秦PLUSが2万1268台で首位に立ち、シルフィはわずか1390台差の1万9878台で2位に沈んだ。カローラはさらに悲惨で、1万台に届かなかった。
独フォルクスワーゲン(VW)などの外資メーカーは、中国メーカーと提携して積極的に電動化を進めているが、日本車メーカーは電動化に慎重な姿勢を見せる。ホンダの前社長、八郷隆弘氏はかつて、PHEVが今後数年の鍵を握るとする一方で、ピュアEVへのシフトについては態度を保留していた。EVシフトに積極的だった日産も、2023年に電動化戦略を見直している。
世界に目を向けると、独メルセデス・ベンツや米ゼネラル・モーターズ(GM)もPHEVやハイブリッド車(HEV)を強化している。米消費者団体が発行するConsumer Reports誌が発表した2024年版人気車種ランキングでは、上位10位にHEV6車種が入った。ピュアEVでランクインしたのは米テスラの「モデルY」だけで、その他の3車種はガソリン車だった。
乗用車市場でピュアEVに陰りが見える一方で、PHEVは比較的堅調を維持している。2024年2月の中国市場での卸売台数は、ピュアEVが前年同月比22.8%減と大きく落ち込んだが、PHEVは4.0%減にとどまった。レンジエクステンダータイプの乗用車に関しては、147%増と大きく伸びている。
こうした市場環境のもと、日本車メーカーがハイブリッド技術を強みにシェアを奪還できるのか、今後も注視していく必要があるだろう。中国車メーカーがNEV分野で急速に力を伸ばすなか、日本車メーカーが直面する課題は厳しさを増している。
*2024年3月23日のレート(1元=約21円)で計算しています。
作者:超電実験室(WeChat公式アカウントID:SuperEV-Lab)
(編集・36Kr Japan編集部、翻訳・田村広子)
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