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動画生成AIを開発する「愛詩科技(AISphere)」がこのほど、シリーズA1で達晨財智(Fortune Capital)から約1億元(約20億円)を調達した。
愛詩科技は王長虎氏が2023年4月に設立した。世界トップクラスの動画生成AIと関連アプリの開発に注力し、マーケティングや広告、ゲームなどコンテンツ業界での活用を目指している。
王氏はAIやコンピュータービジョンの専門家で、過去には米マイクロソフトの研究機関マイクロソフト・リサーチ・アジア(MSRA)に在籍し、一流の学術会議や学術誌で100本以上の論文を発表した。その後中国テック大手のバイトダンスに入社し、同社が運営するショート動画アプリTikTokやその中国版・抖音(Douyin)の飛躍的な成長を支えた。
今年2月、大規模言語モデルChatGPTで知られる米OpenAIが動画生成AI「Sora」を発表し、業界に旋風を巻き起こした。これをきっかけに、愛詩科技も広く注目を集めるようになった。
Soraの登場でOpenAIの独走態勢が強まり、その他のスタートアップは太刀打ちできなくなったと見る向きもあるが、王氏は楽観的に構えている。Soraが生成する動画のクオリティーは確かにこれまでの生成AIを上回っているものの、技術の点ではGPT2とGPT3の中間くらいのレベルにとどまっているため、市場に食い込むチャンスはまだまだあるというのがその見方だ。
SoraはアーキテクチャーにDiT(Diffusion Transformer;拡散トランスフォーマー)を採用し、その可能性を検証したとされているが、愛詩科技も設立当初からこの技術路線で動画生成AIの開発を進めてきた。王氏は、Soraが登場してから動画生成AI業界は急成長の好機を迎えており、初期に参入した愛詩科技にもSoraに追いつき、抜き去るチャンスがあると考えている。
現在、愛詩科技は海外向けに動画生成AI「PixVerse」を公開しており、ウェブサイト上または米チャットサービス「Discord」の専用サーバーから手軽に体験できる。テキストや画像から動画を生成でき、2023年10月には4K動画にも対応した。中国国内向けサービスも当局の審査を通過し、すでに内部テスト版が公開されている。
海外では現在、PixVerseと音楽などの生成AIを組み合わせてショートムービーや広告、アニメなどを制作するユーザーが増えており、クリエイターには欠かせない新世代のAIツールとなりつつある。トラフィック分析サイトsimilarweb.comによると、海外向けPixVerseの月間アクセス数は急増しており、すでに100万PV(ページビュー)を超えている。
王氏は、愛詩科技の今後3~6カ月間の最重要目標は、技術面でSoraに比肩する、もしくは上回るサービスを作り上げることだと説明した。国内外向けのサービスのアップデートや改良を進め、2024年末までに消費者向けアプリを公開し、大々的に普及させたい考えだという。
*2024年3月28日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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