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中国IT大手のアリババグループはこの3年余り、コロナ禍、経済成長の鈍化、市場競争の激化、規制の変化などさまざまな圧力にさらされ、その業績も大きな影響を受けてきた。
同グループの蔡崇信会長はこのほど、ノルウェーの政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金のインタビューに応じ、アリババグループの現状について答え、過去の問題を振り返った。
蔡会長は「アリババが凋落したのは、誰が本当の客かを忘れたからだ。本当の客、すなわちアリババのアプリを通じて商品を購入するユーザーに最高の商品購入体験を提供してこなかった。ある意味、自業自得という部分がある」とし、問題解決のために、グループ傘下で天猫(Tmall)や淘宝(タオバオ)など電子商取引(EC)事業を手掛ける淘天集団の組織改革を実施したと述べた。さらに新たにCEOに就任した呉泳銘氏について「ユーザーを非常に重視し、商品、ユーザーとの関係、ユーザー体験に注力するだろう」と語った。
アリババはこの数年、大手企業、なかでも天猫に出品するブランドを偏重してきた。そのおかげでEC事業のGMV(流通取引総額)と売上高は急拡大し、長期間にわたりECトップの座を守り続けている。一方で、アクセスの少ない多数の中小企業がプラットフォームを離れ、ユーザーにおすすめされる商品は次第に高価になっていった。本来商品を安く提供するはずの大型セールはルールがどんどん複雑化し、さまざまなマーケティングツールのせいで数字のゲームに成り下がってしまい、ユーザー体験は大きく損なわれている。その結果、多くのユーザーがアリババを離れていった。これに対し、後発でありながら格安ECとして急進撃を遂げた「拼多多(Pinduoduo)」はシンプルに最大限安く提供することで人々の心をつかんだ。
拼多多は昨年11月のEC業界最大規模のイベント「独身の日」の後、時価総額が一時的にアリババを超えた。すると久しく発言を控えていたアリババグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が社内に向け「アリババは変わる、アリババは変化する」というメッセージを出した。新たな経営陣は矢継ぎ早に多くの人事異動を発表し、傘下のグループでは上層部の交代が今も続いている。
アリババは今年2月の決算説明会で、傘下のグループの上場を一時的に延期すると公表した。蔡会長は米CNBCの取材に対し「組織改革が進み新しい経営陣が動き始めれば、中国トップのEC事業者になる自信がある」として「以前ほどの自信を持つことはできず、競争のプレッシャーを感じたが、それでもアリババは戻ってきた」と述べた。
経営陣が立て続けに声明を発表するほか、自社の株式が過小評価されていることを証明しようと幾度も自社株買いを実施した。4月2日夜に発表した公告によると、2024年3月末までに125億ドル(約1兆9000億円)を投じて12億4900万株の普通株を買い戻したという。この1年間で自社株買いに費やした金額としては、中国インターネット企業のなかでも最高額だ。
蔡会長は2月の決算説明会で、アリババが本業に注力し、ECチームの力を再度結集するために、実店舗型の小売事業からの撤退を検討すると初めて明らかにし、それにはもう少し時間が必要だと述べた。またアリババはすでにこの数カ月で、動画配信大手Bilibili(ビリビリ)や電気自動車(EV)メーカー小鵬汽車(Xpeng Motors)など多くの有名企業の持ち株を手放したり、数を減らしたりしている。
遅れてECに参入した拼多多やショート動画プラットフォーム抖音(Douyin)のEC事業・抖音電商(Douyin EC)などの激しい追い上げにプレッシャーを受けながら、アリババは改革によって市場を奪還しようとしている。
※2024年4月10日のレート(1ドル=約152円)で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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