「損耗計算の精度98%超え」中国企業の倉庫自動化ソリューション、AI搭載設備で効率向上とコスト削減

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「損耗計算の精度98%超え」中国企業の倉庫自動化ソリューション、AI搭載設備で効率向上とコスト削減

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倉庫の自動化ソリューションを提供する中国企業「派迅智能(Passion Intelligent Technology)」がこのほど、2度にわたり計1億元(約20億円)以上を調達した。安徽国控投資と創谷資本(Innoval Capital)が出資した。資金は半導体や新エネルギーなど先進製造分野に特化した技術開発、専門人材の採用、スマート製造拠点の建設、海外市場の開拓に充てられる。

派迅智能2014年に設立され、本社を江蘇省蘇州市に置く。主に電子機器、半導体、新エネルギー、物流などのメーカー向けに、ロボットと人工知能(AI)を活用したスマート工場ソリューションを提供しており、主要製品は保管設備、搬送装置、材料登録・検査・点検システム、IoT対応ラックなどで、幅広い分野で活用されている。また、シンガポールに海外事業本部を設けており、現在米国、マレーシア、ベトナム、メキシコ、日本など世界20以上の国と地域で事業を展開している。

倉庫自動化のソリューション(画像:派迅智能)

製品のうち、2019年に発売されたSMT(表面実装技術)向けデュアルチャネル・スマート保管設備は、3回にわたるバージョンアップが実施された。同製品は表面実装に使用する材料の保管、ピッキング、出庫、点検など全プロセスをデジタル化、自動化、スマート化して管理し、材料の保管とピックキングを1セット当たり5~10秒で自動的に行う。

共同創業者の華鑫氏によると、同製品は類似の設備と異なり、2本のロボットレーンで材料のピッキングと保管を同時に進め、前の作業で残った材料を速やかにシステムへ戻せるため、材料の滞留を減らし、コストの削減にもつながるという。

SMT向けデュアルチャネル・スマート保管設備(画像:派迅智能)

ロボットアームの設計も一般的な製品と異なり、チップなどの精密部品が入ったトレイを基本的な保管ユニットとして使い、それをフレキシブルなロボットアームで直接取り出す。アームは異なる厚さの材料でも一度に把持できるため、材料ごとに繰り返し取り出す必要がない。

また、保管装置に自動除湿モジュール、窒素自動調整モジュール、静電気管理モジュールを内蔵することで気密性を高め、材料を安全に保管できるようにした。

多くの業界でAIの活用が進む中、同社の研究開発チームもAIモデルやアルゴリズムの研究を進め、倉庫管理システムに応用している。AIが保管装置のデータに基づいて、特定の期間における材料の異常な損耗率を自動計算し、管理者に異常な損耗状況や材料補充を通知する。華氏によると、損耗計算などにおいてAIの精度は98%を超えるという。

従来の製品は、さまざまな装置からクラウドプラットフォームにデータを送ってプラットフォームが分析・意思決定するという方式をとっていたが、派迅智能では各装置にアルゴリズムを搭載し、設備上で計算、統計、分析して材料供給の意思決定ができるようにした。これによってクラウドプラットフォームのデータ処理負荷が軽減される上、より生産現場に近いデータが得られるため、アルゴリズムの最適化にも役立つ。

派迅智能はトータルソリューションと標準設備を中心に販売している。2023年には複数の業界大手企業と提携を結び、物流プラットフォームの菜鳥(Cainiao)などに標準設備を提供している。また、新エネルギー向けの倉庫管理自動化ソリューションを米国市場でリリースし、アジアではエネルギー管理のシュナイダーエレクトリック(Schneider Electric)、日本の東芝などと提携、ベトナムやインドネシアなどの東南アジアでも業界トップクラスの顧客から追加受注を獲得したという。

紹介によると、同社の2023年の売上高は50%以上の伸び率を保ったという。今年は欧州やメキシコなどで市場開拓を進める予定だ。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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