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業務用清掃ロボットメーカーの「奇勃科技(iKitbot)」が、プレシリーズAで数千万元(数億円超)を調達したことを発表した。金沙江聯合資本(GSR United Capital)が主導し、Amara Investmentやその他既存株主も参加した。資金は製品開発や、海外戦略の推進などに使用される。
奇勃科技は2021年に設立され、主に業務用清掃ロボットの開発・製造・販売を手掛ける。創業者の王雪松氏は、猟戸星空(OrionStar)や坎徳拉科技(Candela)などの著名ロボットメーカーでの経験を持つ。2022年にエンジェルラウンドで索道投資(Seekdource)から数千万元を調達し、最初の製品「iKibot ONE」を発表した。
業務用清掃は人手に頼る部分が大きく、自動化された清掃ツールの利用は部分的だ。企業はスタッフ育成に多くの時間とリソースを費やす必要があるが、労働力は流動的で育成コストがかさみ、作業の標準化や管理もしづらい。清掃作業を半自動から全自動へとシフトさせる過程で、清掃ロボットが大きな期待を集めている。
しかし中国国内のビル管理業は細分化されており、スタートアップ企業が自力で製品を市場に広めるのは難しい。そこで奇勃科技はビルメンテナンス業務が集約され、かつ労働力不足が深刻化している日本市場に重点を置いた。
王氏によると、日本では高齢化が著しく、清掃会社はスタッフの確保に苦労しており、労働コストも高いことから「すぐにでも清掃ロボットを利用したいという需要は多く、協働型ロボットでも独立型ロボットでも導入する意向がある」という。さらに重要なこととして、日本では住友不動産、三井不動産、三菱不動産といった大手不動産グループがビル管理事業の大部分を押さえているため、「大口顧客と契約できれば製品を大量に出荷することができ、中国市場のように小口顧客を数多く獲得するために多額のコストをかける必要がない」。
今や日本市場は、海外進出する中国の業務用清掃ロボットメーカーにとって外せない市場となっている。高仙機器人(Gaussian Robotics)や普渡科技(Pudu Robotics)、擎朗智能科技(Keenon Robotics)、石頭科技(Roborock Technology)など多くのロボットメーカーが日本で積極的に事業を展開している。
王氏は、日本には自動清掃ロボットがまだ少なく市場は大きいとはいえ、誰もが成功できるわけではないとし、「日本市場には製品への理解やビジネスのルールなど、中国とは異なる特性がある。勝ちをつかめるのは日本市場を理解している企業だけだ」と語る。
日本ではオフィスビルや大型商業施設のメンテナンスは一般的に外部の不動産会社に委託され、不動産会社は清掃会社に業務を委託、そして清掃会社がスタッフを募集して清掃業務を実施する。業務用清掃ロボットのメーカーはこうした流れを理解しておかなくてはならない。また、清潔さを非常に重視する日本では、清掃ロボットのニーズが日増しに増加しており、積極的にロボットを導入しようとする好ましい状況にある。
日本市場は漫画やアニメの影響でロボットに親しみを感じており、多くの企業が使ってみたいと考えているが、品質に対する要求は極めて高い。中国ではまず完成度が60点から70点の製品を市場に投入し、運用しながら徐々に改良を加えていくという方式が当たり前だが、日本では通用しない。日本の代理店は事前に製品を評価し、導入する顧客にそれを開示するため、最初から90点の完成度に仕上げておく必要がある。製品が合格基準に達していなければ代理店は納得せず、その代理店が管轄するエリアでの市場開拓は困難になる。
さらに日本市場では商社の存在が大きく、商社に認めてもらえなければ市場参入はかなり難しい。これには良い面もあり、商社1社と契約できさえすれば、商社のチャネルやリソースを使ってロボットを大規模に出荷できる。
奇勃科技はまず、日本のエレクトロニクス商社「エレマテック」をパートナーに選び、時間をかけてiKibot ONEをブラッシュアップしてきた。日本向けのデザインにし、日本の建物の床に合わせた新たな清掃システムやナビゲーションを開発するなど多くの改良を施したほか、さまざまなシーンで極限までテストして課題を解決し、90点を取れるまでにした。
「法人向けビジネスの鍵は優れた製品とチャネルだが、良い製品があって初めてチャネルができ、顧客を獲得できる」。王氏によると奇勃科技はすでにエレマテックから大口受注を取りつけ、納品を開始している。
※1元=約22円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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