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貿易企業向けにワンストップの金融サービスを提供する「XTransfer(奪匯網絡技術)」が、シリーズB1で1500万ドル(約16億3000万円)を調達した。リードインベスターはアリババ系のeWTP科技創新基金(eWTP Technology & Innovation Fund)、コ・インベスターは「招商局創投(China Merchants Venture)」、「零一創投(01VC)」、「雲啓資本(Yunqi Partners)」および「高榕資本(Gaorong Capital)」で、「浅月資本(YUE CAPITAL)」が単独で財務顧問を務めた。今回調達した資金は、国際金融ネットワークの開拓、各国における金融ライセンスの申請、組織や技術のアップグレードおよびマーケティングに充てられる。
2017年5月創業の同社は、全世界での金融ネットワークの構築により、中小企業向けに現地での送金受取・支払、外貨両替、資産運用およびローンなどの財務管理サービスを提供している。
ここ数年、国際決済はベンチャーキャピタルが熱い注目を寄せる投資分野だ。中国の「一帯一路政策」による後押しを受ける中、国際決済はECの重要なインフラとなっており、スタートアップも積極的に参入を進めているが、具体的には中小企業の送金受取・支払、個人の送金受取・支払および外貨両替といった角度から国際金融市場に切り込んでいる。
単純な外貨両替サービスとは異なり、同社は送金側および受取側企業の双方と直接接触し、プラットフォーム型のソリューションを提供する。同社の創業者兼CEOの鄧国標氏によると、同社はエンジェルラウンドでの資金調達以来、企業としての大きな方向性に変更はなく、製品の継続的なアップデートや改善、およびマーケティングに業務の重きを置いており、ここ1年で急成長を遂げているとのことだ。
同社は世界中で多国籍銀行、国内外の地場銀行、各国の決済機関からなる決済ネットワークを構築している。上海に本社を構え、香港、イギリス、カナダ、アメリカ、オーストラリアなどに支社を設置し、現地の決済ライセンスも取得している。
資金の安全性とコンプライアンスは、金融・決済関連企業が必ず守るべき最低条件であり、同業界におけるコア・コンピタンスとなるのは金融機関からの信頼だと鄧氏は強調する。同社は過去2年間で世界各地の監督管理機関と積極的に意思疎通を図り、マネーロンダリング(資金洗浄)を防止するためのインフラを整えた。ここ最近では、中国国際貿易促進委員会貿易促進センターと戦略パートナー関係を結んでいる。
今後は市場と海外金融ネットワークの拡大を加速し、インド、インドネシア、日本、台湾などに支社を設置すると同時に、さらなる人材を獲得し組織の強化を図る考えだ。
同社の6人のパートナーはいずれもアント・フィナンシャル(螞蟻金服)およびアリババの出身で、VisaやPaypalといったグローバル金融プラットフォームでの就業経験を持つ。
招商局VC執行董事を務める甘自辛氏は、「中国の工業界と世界のサプライチェーンとの統合は大きく進んでおり、日増しに複雑化する地域の保護主義という駆け引きに直面している。中小企業が経済のグローバル化に参与するには、専門的で対応が早く、サービスのクオリティが高く拡張性も高いグローバル統合型決済・清算サービスが必要だ。XTransferの体系化されたリスクマネジメント能力は極めて優れており、貨物貿易を起点とした同社のサービスは、人民元の国際化を後押しする重要な原動力となるだろう」と期待の声を寄せている。(翻訳・神部明果)
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