中国のレドックスフロー電池、再エネ普及で市場拡大 海外開拓を視野に

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電解液を循環させて充放電するレドックスフロー電池は、大容量でサイクル寿命が長く、幅広い分野で活用できる新しいタイプの蓄電池だ。大量の電気を蓄えられるので、送電網や太陽エネルギー、風力エネルギーなど再生可能エネルギーの大規模な蓄電需要に応えられる。

中国で発電量が増え続ける中、クリーンエネルギーの需要も拡大している。2030年に二酸化炭素(CO2)排出量のピークアウトを目指す中国は、クリーンエネルギーや再生可能エネルギーの開発に力を入れている。長時間かつ大規模な蓄電が求められる場面で最適なソリューションとなるレドックスフロー電池は、政策の後押しを受けながら急速に開発が進んでいる。

こうした中、中国のレドックスフロー電池産業は最初のピーク期を迎えている。2023年に設立された「朗雄儲能科技(Langxiong Energy)」は、鉄-クロムレドックスフロー電池の技術開発、製造、蓄電所の設計・建設、ソリューションを手がけ、産業チェーン全体を網羅する先進的なメーカーだ。

同社は、大容量で長時間の蓄電が可能な鉄-クロムレドックスフロー電池を開発し、新エネルギー発電拠点、送電網のピークシフト、データセンターなど、8時間以上にわたる大規模な蓄電需要に応えようとしている。チームは、信頼性が高く、実用的でフレキシブルな独自開発の蓄電システムをベースに、オーダーメードの蓄電ソリューションとして、電気自動車(EV)充電スタンドの直流電流向け蓄電池や、島や辺境地のオフグリッド蓄電システム、緊急時の電源供給、災害時の救援サービスシステムなどを国内外で提供する。

レドックスフロー電池が将来的にリチウムイオン電池に取って代わるのかとの問いに対し、朗雄の石磊CEOは、エネルギー戦略を考えると今後もさまざまなタイプのエネルギーが併存するとの考えを示した。例えばビルの蓄電システムを設計する場合、レドックスフロー電池は安全性が高く、発火や爆発の危険がないため地下に設置し、リチウムイオン電池も中小規模の電力使用シーンで活用でき、両者は補完し合えるという。車載電池の分野では、将来的に燃料電池と全固体電池がライバルとなる見通しだ。しかし、レドックスフロー電池はコストが非常に高いため、世界的な産業チェーンがまだ構築されていない。実用化を試みている各メーカーはソリューションを確立してないが、蓄電に人工智能(AI)を組み合わせる形が有望視されている。

同社の従業員は約40人で、うち70%以上が研究開発を担当している。今年の売上高は1億元(約20億円)に上る見込みで、受注のほとんどは大手の電力システム企業から獲得した。石CEOは、中国がレドックスフロー電池の製法や技術の開発で世界をリードしており、今後は海外市場を大きく開拓していきたいとの見方を示した。

レドックスフロー商用化、コストと苦闘 中国・ENERFLOW

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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