塗装の有害廃棄物、効率的に無害化。焼却に代わる「生物処理」技術、中国新興が開発

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廃棄物の生物処理ソリューションを手がける中国スタートアップ企業「波態生物(Waves Biology)」がこのほど、プレシリーズAで数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資は元禾璞華(Yuanhe Puhua)が主導し、耀途資本(Glory Ventures)と既存株主の瑞夏投資(Ruixia Investment)も参加。資金は市場開拓と技術改良に充てられる。

2020年に設立された波態生物は、効率的で環境に優しい生物処理によって有害な有機性廃棄物を無害化する技術を開発し、工場の吹き付け塗装工程で生じる塗料系廃棄物、有害廃水、揮発性有機化合物(VOC)の無害化処理ソリューションを提供する。このソリューションはすでに大規模な活用が進んでいるという。

塗装業界では塗料系廃棄物、有害廃水、VOCの処理をめぐり大きな市場が存在する。工業大国の中国では毎年、吹き付け塗装工程で固形廃棄物700万トン、廃水500万トン、VOC 300万トンに上る膨大な量の有害な塗料系廃棄物が生み出され、1000億元(約2兆円)規模の廃棄物処理市場を形成している。

しかし、市場は多くの課題を抱えている。中国では有害な塗料系廃棄物を焼却処理するのが一般的だが、この方法ではVOCや水溶性溶剤の排出問題を解決できず、エネルギー消費量が多い上に設備のメンテナンスが繁雑で、高いコストがかかる。

波態生物は、現在主流の焼却処理に代わる生物処理を打ち出し、そのための微生物や設備を独自に開発した。活用シーンに最も適した微生物材料をスクリーニング・培養・配合し、設置・改造・メンテナンスを統合した有害廃棄物の無害化処理ソリューションを提供している。

共同創業者の郝勝利CTOは「吹き付け塗装で生じる有害廃棄物を生物処理する技術は当社が世界で初めて開発したもので、焼却処理よりも効率が大きく上回る。有害廃棄物の発生量と二酸化炭素の排出量を大きく減らせる上、30%以上の省エネとコスト削減を可能にする。焼却処理から生物処理への移行は、産業が発展する中での必然的な流れで、同技術の改良と革新が進むのは間違いない」としている。

郝CTOによると、同社の有害廃棄物の生物処理ソリューションはすでに複数の大手自動車メーカーで採用されており、現在は他の製造業や3C(パソコン、通信機器、家電)などの分野で顧客の開拓を進めている。

廃棄物の生物処理技術は、塗料系廃棄物だけでなく、土壌改良や医薬品、有機化学品、プラスチックごみなどのバイオエンジニアリングにも幅広く活用できるのが特長だ。郝CTOは、今後は土壌改良や化学系廃棄物などの分野に進出し、1兆元(約20兆円)規模が見込まれるバイオエンジニアリングの新しい市場を切り開く方針を示した。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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