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産業構造や既存技術を大きく変革するうえで欠かせないのが新材料の開発だ。しかし、これまでの手法では開発に10~20年の時間がかかることも多く、新材料を必要とする産業界のニーズを十分に満たせていなかった。
中国工業情報化部や金融情報プラットフォームChoiceのデータによると、中国では高性能な新材料の自給率が低く、輸入品の割合が84%に達しているという。なかでも主要な材料の52%を輸入に頼っており、耐熱合金の輸入率も50%ほどと、国産品への切り替えが急務となっている。
ここ数年、材料分野でもAIやビッグデータ、IoTなどの技術が活用されるようになり、ビッグデータとAIを組み合わせたデータ駆動型の材料開発が新たなトレンドとなっている。また、多くの企業では開発の効率化やコスト削減を図るため、材料の設計や開発にAIを導入する試みがなされている。
金属材料の開発を手がける「創材深造(Deep Material)」もそのうちの1社だ。2021年2月に設立された同社は、材料情報学や機械学習、ディープニューラルネットワークなどの技術をベースに、AIを活用して高性能金属材料の開発と産業化を推し進めている。
AIを導入した新材料開発企業の多くが、ソフトウエアの販売や開発の受注を事業のメインとしているのに対し、創材深造は材料そのものにフォーカスしており、金属材料の開発・生産・販売に注力している。すでに3Dプリンター用の金属材料や高性能アルミダイカスト材の開発に成功し、量産を始めている。
新材料の開発期間の長さなどの課題解決に向け、創材深造は質の高いデータを確実に取得できるよう、実験データを自動収集して標準化・プロセス化できる装置を独自開発した。さらに、プロセスを高速化したハイスループット実験が可能な実験室や、産業グレードのビッグデータプラットフォームを設け、開発プロセス全体のデジタル化にも対応した。
例えば耐熱合金の開発では、ハイスループット実験室で機械学習や深層学習を用いて大量の実験データを収集したうえで、チームメンバーが耐熱合金材料用の生成モデルを構築し、材料のテストや性能の最適化を進めていく。
創材深造が打ち出すAI駆動型の開発モデルは、開発期間を短縮できるというメリットがある。従来の方式だと開発プロセスに最低5年かかっていたが、同社の方法なら半年間で3~5種類の新材料を開発でき、開発にかかるコストを大幅に削減できる。
創業者の王沢軒氏は「AIを活用した新材料開発プラットフォームの効果性はすでに実証されている」と話す。2023年末にはすでに、耐熱合金、高強度アルミ合金、ダイカスト用アルミ合金という3種類の先端合金材料のパイプライン(新材料候補)を開発したという。
「当社の材料は知的財産権を有し、性能やコストの面で輸入材料よりも優れているため、材料の国産化を後押しできる。用途は航空宇宙産業や軍需品、新エネルギー車、消費者向け電子機器など幅広く、需要は非常に大きい」と王氏は語る。
すでに航空宇宙分野などを手がける国内大手企業と提携を結び、小ロットの試験生産を進めているという。また、大手自動車メーカーとは1000万元(約2億2000万円)を超える新エネルギー車用材料の受注契約を結んでいる。
*1元=約22円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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