中国の「低空経済」、急成長へ 30年までに市場規模は約40兆円超

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中国では低高度を飛ぶ有人・無人航空機を活用した経済活動「低空経済」の発展において、無人機(ドローン)物流が重要な部分を占めている。中国民用航空局によると、2023年末時点の実名で登録された無人機は前年同期比32.2%増の126万7千機に上り、23年の民用無人機の飛行時間は前年比11.8%増の2311万時間だった。

中国郵政集団広東省郵政の広州市郵政支社は大学の合格通知書の配達を40年以上手がけ、毎年約55万通の合格通知書を各地の学生の手元に届けている。低空経済の広がりを受け、同社は今年から無人機による配達の導入を検討し始めており、今後は合格通知書が「空から降ってくる」というテクノロジー体験を味わう学生が増えるとみられる。

中国郵政集団は辺鄙な山地への郵便物輸送、緊急物資輸送、救急医療用医薬品の配送、農産物の配送支援など公共サービスと農村振興の分野で低空経済の応用検討を加速するとしている。

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低空経済の応用シーンは広がりつつあり、多くの業界で無人機が手腕を発揮し、サイエンスフィクションの場面を現実の生活に取り込んでいる。中国民用航空局によると、中国低空経済の規模は23年に5000億元(約10兆3000億円)を超えており、30年には2兆元(約41兆3000億円)に上る見通し。

物流大手、順豊控股(SFホールディング)傘下で物流用無人機の開発・運用を手がける豊翼科技(深圳)は今年6月、瓊州海峡を横断する低高度空域の生鮮輸送ルートを開設し、果物をより新鮮な状態で消費者の手元に届けられるようにした。従来の海上輸送に比べてコストを30%、輸送時間を70%削減できるという。

7月には湖南省岳陽市華容県団洲郷団北村で洞庭湖の堤防が決壊し、省内の消防救助隊が災害救助活動のために47機の無人機を相次ぎ出動させ、機械用燃料や設備用消耗品、修理部品、生活必需品など数百キロに上る救援物資を無事に救助隊に届け、最前線で働く救助隊に確かな後方支援を提供した。

中国は低空経済の発展に力を入れている。今年の政府活動報告ではバイオものづくりや商業宇宙飛行、低空経済など新たな成長のエンジンを積極的に形成する方針を打ち出した。多くの省も低空経済を地方政府活動報告に組み入れ、川上・川下産業で布石を打っている。

23年末時点の中国の民用無人機開発・製造企業は2300社を超え、量産を実現した無人機製品は千品目を超えた。23年の民用無人機の納入数は317万機を超え、ゼネラル・アビエーション(一般航空)製造業の生産額は前年比60%近く増えて510億元以上に上った。

中国民用航空中南地区管理局は今年4月、小型無人機メーカーの広州億航智能技術(イーハン)に対し、世界初となる自動操縦型有人eVTOL(電動垂直離着陸)の生産許可証を交付した。これはイーハンが独自開発したeVTOL機「EH216-S」が量産の資格を得たことを意味する。

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同社の賀天星副総裁は「耐空証明書の取得を新たなスタート地点として、低空経済に関連するビジネスモデルの模索に注力している」と明かした。低空経済の発展は新型インフラ整備や部品、エネルギー貯蔵、文化・観光、教育など川上・川下産業の発展をさらにけん引するとの認識を示した。(新華社広州)

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