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中国上海市徐匯区の漕河涇開発区にこのほど、国内最大のビデオゲーム専門博物館となる中国音数協遊戯博物館がプレオープンした。8月末には正式開館を予定している。
博物館は敷地面積約2千平方メートルで、「ビデオゲームの起源」「コンソールゲームの勃興」「コンピューターゲームの繁栄」および「中国ゲームの発展」の四つの基本展示からなる。館内には、世界初の家庭用ゲーム機「マグナボックス・オデッセイ(Magnavox Odyssey)」や任天堂、セガ、ソニー、マイクロソフトなどのゲーム機メーカーのマイルストーンとなった製品、21世紀に入って徐々に普及した家庭用コンピューターゲームなどを含む各種製品5千点余りが収蔵されている。これらゲーム発展史において重要な実物資料は、ビデオゲームの過去と現在を生き生きと再現しており、ビデオカード、CPU、ディスプレー、仮想現実(VR)/拡張現実(AR)デバイスなどのハードウェア技術の発展プロセスの文脈が鮮明に浮かび上がる。
教育と科学知識の普及という博物館が持つ重要な役割についても怠りない。例えば1970年代に誕生したゲーム機「マグナボックス・オデッセイ」については完全版に加えて分解した状態のものも展示し、プリント基板などの構造を分かりやすく示している。往年のビデオチップベンダーの3dfxやエヌビディアなどの企業のグラフィックスチップ技術が3Dゲームをサポートしていることも、専用の区画を設けて紹介している。
69年に任天堂が発売したラブテスターや、ゲームカートリッジを携帯ゲーム機に差し込むとプログラムによって対応する図案を縫うことができるゲームミシンなど、ややマイナーな収蔵品もある。同博物館の責任者、周偉氏は、一般消費者を直接相手にするゲームは市場の需要が大きく、タイムリーなフィードバックがあるため、技術の進歩やデジタルとリアルの融合、業態の革新、産業の高度化など、多くの面で巨大な触媒作用を起こしてきたと指摘。「当館の展示から、ゲームの背後にある技術の発展や文化的意味合いまで感じ取ってほしい」と語った。
もちろん、ビデオゲーム専門博物館にはインタラクティブ体験エリアが欠かせない。重厚なデスクトップパソコンのモニターに、Windows98版「仙剣奇侠伝」のゲーム音楽が流れると、おなじみのシーンや会話が昨日のことのように思い出され、ロマンや強い絆を夢見た青春の日々がよみがえる。プレオープン中は1日300~500人の完全予約制となっており、毎回満員で、親子が一緒に来館する姿も見られる。
参観順路に沿って歩くと、コンソールゲーム時代の主役が米国や日本などの大手ゲームメーカーだとしたら、コンピューターゲーム時代には中国製ゲームが急速に台頭し始め、国内ゲーム市場は代理リリース中心から独自研究開発中心へ発展してきたという印象を持つ。展示エリアの最後を飾る「中国ゲームの発展」の展示には、中国のプレーヤーたちの青春の思い出とさらなる期待が詰まっている。「仙剣奇侠伝」「軒轅剣」「古剣奇譚」などの国産仙侠RPGの黄金期から、今では世界の「2次元」トレンドをけん引する中国ゲーム制作大手の上海米哈游網絡科技(miHoYo)の「原神」「崩壊」「ゼンレスゾーンゼロ」などのゲームまで、何世代にもわたる国産ゲーム開発者が先行ゲームの良さを踏まえて新たなものを生み出すとともに、中国の伝統文化も中国本土のゲーム産業の現在と未来にインスピレーションを与え続けていることが伝わってくる。
中国ゲーム産業の台頭の新たな拠点となった漕河涇開発区には現在、上海のゲーム会社と産業生産額の約60%が集まっている。軌道交通(地下鉄)9号線沿いに上海のデジタルエンターテインメント産業の中心地が基本的に形成されており、miHoYo、上海莉莉絲網絡科技(Lilith Games)、鷹角網絡(Hypergryph)などのトップ企業を含むゲーム会社150社以上がここに拠点を置く。周氏は、博物館の場所として上海を選んだのは、この地の産業集積効果を見込んでのことだとし、「博物館の設立は業界の成熟度を示す重要なシンボルでもあり、多くのゲーム開発者やプレーヤーが現場で実際に交流する場を提供し、国内外のゲーム産業協力のためのより専門的なプラットフォームを構築することで、業界のイノベーションの活力を刺激したい」と述べた。
(新華社上海)
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