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ロボット掃除機の「ルンバ」で知られる米iRobotは、家庭用ロボット掃除機のパイオニアとして長く世界市場を独占してきた。しかし、ここ数年は中国メーカーが猛烈な勢いで台頭し、シェアが落ち始めている。
代表的な一社として、ロボット掃除機大手の「石頭科技(Roborock)」がある。同社が発表した2024年上半期(1〜6月)の決算は、売上高が前年同期比30.90%増の44億1600万元(約880億円)、純利益が51.57%増の11億2100万元(約220億円)の増収増益となった。うち、海外売上高は22億9400万元(約460億円)と全体の51.95%を占め、好業績をけん引した。
製造大国の中国には整ったサプライチェーンがあり、ロボットの中核部品の生産、組み立て、大量生産による価格競争力を支えている。そして現在、中国のロボット掃除機メーカーは技術のアップデートという点でも強みを発揮している。
iRobotは視覚ナビゲーションに関する特許を保有しており、かつてはこれが中国メーカーの技術応用を阻んでいた。しかし、Roborockや科沃斯機器人(Ecovacs)などの中国大手は、LiDARを利用したナビゲーションシステム「LDS」と高精度な自己位置測定を可能とする「SLAM」を組み合わせ、iRobotをしのぐ製品を開発することに成功した。
Roborockは現在、170カ国・地域以上で事業を展開しており、うち14カ国・地域ではシェアが上位3位以内に入っているという。また、主要市場の米国や日本、ポーランド、ドイツ、韓国などに子会社を設立し、アフターサービスまで提供している。調査会社の魔鏡洞察によると、2023年は米国の800ドル(約11万円)以上のハイエンドモデルのロボット掃除機市場で57%のシェアを占め、iRobotの26%を大きく超えた。
中国国内の消費が減速するなか、今後はこれまで以上に多くのロボット掃除機メーカーが海外進出していくとみられる。Roborockはグローバル市場をめぐる競争で勝ち抜くため、昨年月産30万台の工場を建設し、品質向上や生産体制の改善を図っている。
*1元=約20円、1ドル=約142円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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