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36Kr Globalのアナリストは、公開情報及び独自調べにより、2024年上半期(1−6月)の中国投資市場の分析レポートを作成しました。以下、レポートからの一部抜粋です。
2024年上半期のVC・PE募集状況
1)新規ファンドの設立と募集状況
2024年上半期の市場は依然として低迷傾向にあり、ベンチャー市場にとっては厳しい環境となった。金融データベースの投中数拠(CVSource)によると、24年上半期にベンチャーキャピタル(VC)・プライベートエクイティ(PE)市場で新たに設立されたファンドは2393本で、前年同期比39%減、前期比45%減となった。ファンドの募集金額は2195億ドル(約32兆4000億円)で、前年同期比38%減、前期比15%だった。
ファンドの募集状況を見ると、市場がいま重要な転換点を迎えていることが分かる。国有資本や政府機関が出資の主力を担っており、資本配分の偏りはある程度是正されてきた。地域別では浙江省、江蘇省、広東省が活発で、新規ファンドの数がそれぞれ439本、313本、308本となり、新規ファンド数上位の地域の差は縮小している。
2)国有資本の背景を持つLPの動きが引き続き活発
中国のフィンテック企業・執中(ZERONE)の統計によると、2024年上半期に中国のリミテッドパートナー(LP)が出資した金額は約5069億元(約10億4000億円)で、そのうち政府資金からの出資が全体の53.8%と高い割合を占めていた。政策面でも国有資産監督管理委員会が24年6月に、中央直轄企業のファンドに対するサポートを拡大するとの考えを表明するなど、国有資本が優遇されている状況にある。
通常、個人投資家の目的は金銭的リターンを得ることだが、国有資本は地方の発展や価値の維持・向上を目的として投資する。多くの国有資本ファンドが満たすべき評価基準の一つが「損失を出さないこと」であり、この条件は関連部門の成績や立場と密接に関連している。政府系ファンドにはこの評価基準に基づいて資金が配分されるため、期限の延長ができなかったり、損失に関わる責任を問われたりすることを恐れ、一部のファンドはアーリーステージや小規模プロジェクトへの投資を避け、安定したプロジェクトにだけ投資するようになっている。これは「ハイリスク・ハイリターン・長期的」というベンチャーキャピタルの基本姿勢に反するという見方もある。
最近では、中国の政策担当者たちが現在の国有資本とベンチャーキャピタル発展のミスマッチに着目し、政策を通じてこの傾向を是正しようとしていることが、多くの会議や関連文書から明らかになっている。例えば、国務院弁公庁が2024年6月19日に発表した「ベンチャーキャピタルの質の高い発展を促すための若干の政策措置」では、政府出資のベンチャーキャピタルに対して、ファンドの評価や免責メカニズムを改善し、業績評価制度を健全化すると共に、「最善を尽くしたなら責任は問わない」などの規定を国有資本ファンドの約款に少しずつ含めていくことが示された。
2024年上半期の中国VC・PE投資状況
1)株式投資市場の概要
2024年上半期の中国VC・PE市場の投資状況は横ばいで、取引額は減少した。投資件数は前年同期から微減、前期比13%減の3971件だった。市場の取引額は684億ドル(約10億円)で、前年同期比4%減、前期比29%減となった。取引額の規模でみると、500万ドル(約7億4000万円)以下の少額取引が市場で受け入れやすい傾向にあり、全体の44.7%を占めた。
また、先の見通しが安定しないために投資意欲がそがれているという状況も見られる。過去2年間にA株市場に新規上場した企業1200社余りの統計によると、起業から上場基準を満たせるようになるまで平均16年以上かかっている。ベンチャーキャピタルは他の投資方法に比べて長期間の損失に耐えなければならず、失敗のリスクも大きくなるため、市場環境や政策の見通しに対する感度もずっと高くなる。経済の転換期にある現段階では、ベンチャーキャピタル市場のプレッシャーは大きく、投資活動も慎重になりがちだ。
続き、投資の傾向やVC・PEのイグジット状況などについて本編にてご覧ください。https://connec2.jp/report/16386
(36Kr Japan編集部)
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