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ヘルスケアや化粧品などの原料を開発するバイオテック企業「MetaNovas Biotech(元星智薬)」がこのほど、シリーズAで資金を調達した。高瓴創投(GL Ventures)と宝頂創投が出資を主導し、日用化学品ブランドのデジタルマネジメントを手がける若羽臣(RYC)も参加した。調達した資金は、開発パイプラインのテスト、新原料の登録申請および国際顧客の開拓に充てられる。
MetaNovasは2021年に設立され、米シリコンバレーと中国上海に拠点を置く。同社は人工知能(AI)と1000億以上のデータを集約したナレッジグラフを活用し、機能性ポリペプチドなどの機能性原料や配合方法の開発を進めている。すでに、原料の配合からバイオメカニズム、分子設計、製品開発までを網羅するAI技術プラットフォームを構築し、国内外の有名消費財や化粧品メーカー向けに新原料の開発とソリューションを提供している。
2024年のノーベル物理学賞とノーベル化学賞にAIに関わる研究が選ばれたことで、「AI for Science(AIによる科学への応用)」への注目が高まっている。生命科学や医薬品開発、材料研究などの分野ではAIが広く活用されているが、MetaNovasはその中でも化粧品や栄養補助食品などに用いる機能性ポリペプチドというニッチ分野に焦点を当てることにした。
ポリペプチドは複数のアミノ酸がペプチド結合によって連なった高分子化合物で、スキンケア化粧品のシワ改善効果や保湿効果を高めるほか、栄養補助食品にも使うことができる。そのため、世界中の関連企業が製品開発の重点に据えている。
MetaNovasの共同創業者で最高経営責任者(CEO)の王梅傑氏は「日用化学品の世界大手でも、新原料の開発は難易度が高く、通常は10年以上の時間をかけて大量の実験をする必要がある。しかし、AIを利用すれば開発期間を短縮することができる」と強調する。同社は独自に開発したAIプラットフォームとナレッジグラフを用いることで、原料配合の分析、バイオメカニズムによる検討、標的予測、生成AIも活用した正確な分子設計を実現し、新しい機能性ポリペプチドや既存分子の新機能の開発周期を効果的に短縮することに成功した。
科学研究を基盤とするAIスタートアップは他にもあるが、MetaNovasの商業化能力は際立っており、すでに中国や海外の複数の化粧品大手と業務提携を結んでいる。協業の内容は、新たな機能性分子の設計、スキンケア化粧品向けソリューションの提供、製品の分析・改良、新原料の開発、原料の作用機序に関する研究など多岐にわたる。
MetaNovasはすでに中国と米国の特許10件余りを保有しており、国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)や米マサチューセッツ工科大の産学連携プログラム「MIT ILP」、アジアの食の未来を考える「Future Food Asia」、米国の化粧品科学者協会(SCC)などの国際的な大会で研究成果を発表している。また、化粧品大手のロレアルが北アジアエリア(日本、韓国、中国本土、台湾、香港)のスタートアップをスカウトするプログラム「BIG BANG ビューティーテック&イノベーションチャレンジ」では、2023年度の最優秀賞を受賞をしている。
*1ドル=約152円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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