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アリババグループは12月17日、傘下の百貨店大手「銀泰百貨(Intime Retail)」の全株式を、中国老舗アパレル企業の雅戈爾集団(Youngor Group)や銀泰百貨の経営陣などに売却することで合意したと発表した。売却額は約74億元(約1600億円)。この売却で約93億元(約2000億円)の損失を計上する見込みだという。
アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は2016年、事業のさらなる強化を目指し、オンライン販売とオフライン店舗を融合する「ニューリテール」戦略を提唱した。同社はこれまでに銀泰百貨のほか、小売大手の「蘇寧易購(Suning.com)」や大型スーパー「大潤発(RT-Mart)」を運営する「高鑫零售(SUNART Retail)」に出資し、次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」をインキュベートした。中でも高級百貨店の銀泰百貨は、ニューリテール戦略の重要な担い手だった。アリババは14年に資本参加し、17年に177億元(約3700億円)で銀泰百貨を買収した。
当時はアリババの電子商取引(EC)事業の成長期で、銀泰百貨のオフライン店舗がアリババのオンライン販売を補完し、アリババが銀泰百貨のデジタル化(DX)を促進するというウィンウィンの関係だった。しかし、ここ数年は中国の消費市場の冷え込みや競争の激化など複数の要因が重なり、アリババグループの成長は大幅に鈍化している。とくにECの普及に伴って、銀泰百貨のようなオフライン主体の小売業は苦戦を強いられるようになった。
アリババは2023年、事業を6分割する再編を実施し、「ユーザー第一、人工知能(AI)主導」の戦略を打ち出し、中核事業のECとクラウド事業に集中し始めた。銀泰百貨を含むニューリテール事業は中核事業から外れ、「負担軽減」の対象となっていた。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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