人型ロボット「星動紀元」、ロボット用AIモデル発表。5本指で100種以上のタスクを実行

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人型ロボット開発で知られる中国のスタートアップ企業「星動紀元(Robot Era)」がこのほど、エンド・ツー・エンド(E2E)のロボット用AIモデル「ERA-42」をリリースした。自社で開発した5本指のロボットハンド「XHAND1」と組み合わせて、ねじを手に取りドリルで締める、金づちで釘を打つ、水差しから水を注ぐなど、さまざまな道具を使った100種類以上の細かなタスクをこなすことが可能になった。

ERA-42と接続したXHAND1が道具を使って器用にタスクを実行する

ERA-42は事前プログラミングを全く必要とせず、高い汎化性と自己適応力を備えている。少量のデータを収集すれば2時間足らずで新たなタスクを学習でき、さらに多くの技能を学習し続けることができる。

XHAND1をERA-42と接続すれば5本指で100種類以上のタスクをこなせる

星動紀元は、エンボディドAI(身体性を持つAI)の実現には3つの要素が必要だと指摘する。まず、1つのAIモデルでさまざまなタスクや環境に対応できるようにすることだ。共通のAIモデルを構築することで、視覚や言語、触覚、姿勢などマルチモーダルの情報を融合させ、異なるタスクや環境にも対応できる能力を実現する。

次に、エンド・ツー・エンド(E2E)であること、つまりデータ受け取りから最終的な意思決定と動作に至る全プロセスを、1つのニューラルネットワークで完成させることだ。これにより事前プログラミングや介入処理をせずとも、エンボディドAIをリアルタイムに異なるタスクや環境に適応させ、敏捷性と開発効率を大幅に向上させることができる。

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そしてスケールアップ(大規模化)だ。AIモデルがデータを蓄積し続けることで自ら完成度を高め、未知のタスクに対しても優れた自己適応力と汎化能力を示せるようにする。例えば、エンボディドAI分野でトップクラスの米Physical Intelligence社がリリースしたAIモデル「π0(パイゼロ)」はこうした要素を備えているという。

星動紀元は、エンド・ツー・エンド(E2E)のアルゴリズムに基づいて大規模な動画データを学習させるという方法をとった。ラベリングされていない動画データ、さまざまなロボットのオープンデータ、人間の活動データ、遠隔操作データなど幅広いデータを使って学習させた結果、データ収集コストを効果的に低減できた。

このほか、世界の構造を近似するように学習するモデル「世界モデル(World Model)」をロボット用AIモデルと組み合わせた。これによりAIモデルは現実世界を理解できるようになり、動作の軌道を予測して外部からの干渉に素早く対応するほか、タスクを実行する過程で自己適応性を発揮し、タスク完了までの効率と正確性を高める。

星動紀元「XHAND1」

ERA-24による能力を備えた5本指のXHAND1は、従来の物を把持するロボットに比べて多様な道具を使い、より汎用的で複雑なタスクもこなすことができる。例えば、色付けしたキューブをつかむという簡単な訓練を施せば、目にしたことのない形状の物体をつかむという動きにも対応できるようになる。

ERA-24と組み合わせたXHAND1はさまざまな道具を使った細かな作業ができる

ERA-42は、単独タスクもしくは一連の手順を伴うタスクを遂行するにあたり、極めて高い耐干渉性を備えている。テストによると、AIモデルのパラメーター規模が大きくなるにつれタスクの成功率は顕著に上昇し、大規模言語モデルの訓練におけるスケールアップと同様の効果が見られた。

加えて、汎用エンボディドAIを構築するための新たなハードウェアプラットフォームも開発した。例えば、XHAND1は12自由度で純電動駆動を採用し、独立して動く5本の指にはそれぞれ高解像度の触覚センサーアレイを搭載、正確な触覚や温度の情報を取得できる。

星動紀元の汎用人型ロボットは、ERA-42によりタスク実行の汎用性と汎化能力が大幅に向上した。すでに開発した二足歩行ロボットと組み合わせ、上半身と下肢を連携させることにより、汎用エンボディドAIの商用化に取り組んでいくという。

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(翻訳・36Kr Japan編集部)

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