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米ラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー見本市「CES 2025」(1月7〜10日)で、中国の一目科技(Yimu Technology)が打ち出す人工知能(AI)搭載の洗濯ロボットブランド「TENET」が、ITメディアCNETの「Best Home Tech Gadgets」と米メディアReviewed.comの「Reviewed Awards at CES 2025」に選出され、大きな注目を集めた。
一目科技は2015年に米シリコンバレーで誕生し、翌16年に中国深圳で法人を設立。創業者の李智強CEOは、米カーネギーメロン大学で博士号を取得した人物だ。同社はマイクロ波分光用のAIチップや流体識別センサーを中心に、マルチモーダル検知とAIコンピューティングを組み合わせたソリューションを構築し、家電や水道事業、ロボット、生命科学など多くの産業のスマート化を後押ししてきた。すでに中国TCLや米ワールプール、パナソニックなど白物家電大手のサプライチェーンに食い込んでいる。
CES 2025で発表したAI洗濯ロボットには、洗濯物を識別する自社開発のマルチモーダルAI、視覚センサー、マイクロ波分光技術を組み込み、衣類の素材や色、数、汚れを正確に識別できるようにした。AIが洗濯の段取りを自動で設定・調節するため、ユーザーが考えたり操作したりする必要はない。
李CEOによると、洗濯に特化したマルチモーダルAIは業界初で、サンプルデータ100万件以上の学習と分析を通じ、正確なデータ識別を可能にする。AI洗濯ロボットは、器用なロボットハンドを備え、デリケートな衣類を優しくつかんで自動乾燥することもできる。李CEOは、本物のスマート家電は人と同等の感知・意思決定・実行能力を備えるべきだと考えている。
一目科技は生命科学やエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)の応用にも目を向けている。新薬の開発・設計では通常、たんぱく質分子や化合物の分析が必要になる。同社はハイスループットの分光検出器を開発し、サンプルの分析効率を高めた。さらに、自社開発した医薬品分析用のAIモデルによって分析効率を上げ、前臨床研究の周期を大幅に短縮させている。
エンボディドAIの分野では、光学技術やチップ技術を基盤とした触覚感知機能の開発に重点を置いており、2025年には人型ロボット向けの触覚センサーモジュールと総合的なアルゴリズムソリューションを打ち出す計画だという。
李CEOは「既存のロボットの視覚や聴覚は機能的にかなり成熟しているが、触覚の機能は不十分だ。当社は、将来的に1兆元(約20兆円)規模に拡大する人型ロボット市場に戦略的重点を置いている」と強調した。
一目科技はこのほど、シリーズDで数億元(数十億円超)を調達した。賽富投資基金(SAIF Partners)が出資を主導し、南京市創新投資集団(Nanjing Innovation Capital Group)と松霖科技(Solex High-Tech Industries)が参加した。今回調達した資金でマルチモーダルのセンシング技術やAIコンピューティング能力を強化し、新分野への応用を開拓していく方針だという。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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