「車が人に合わせて動く」 中国スタートアップ、AIでスマートコックピットを再定義

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自動車のスマート化が進む中、スマートコックピット開発の主戦場は「多機能化」から「ユーザー体験の最適化」へと移りつつある。

こうした潮流の中、AIを中核技術とし、クルマと人・環境の関係を再定義しようとする新興企業が注目を集めている。それが、スマートコックピット向けAIモデルを開発する「艾博連科技」だ。同社は、自動車のOTA(Over The Air)ソリューションを手がける艾拉比智能科技(ABUP)のインキュベートによって2024年6月に設立された。すでに長城汽車(GWM)や広州汽車(GAC)、上海汽車(SAIC)といった大手自動車メーカーのほか、ティア1サプライヤー、AI技術企業などと業務提携を結んでいる。

共同創業者の周恩沢氏は「AIモデルの登場が、ソフトウエア開発の効率や車両のコスト管理、そしてユーザーの運転体験の向上に大きく貢献すると考えている。自動車産業はAIモデル活用の時代に突入した」と話す。

スマートコックピット開発における課題は、機能の不足ではなく、「操作の煩雑さ」や「情報連携の非効率さ」だ。従来のコックピットシステムは、機能が詰め込まれているが、頻繁な画面操作や音声コマンド入力を必要とし、かえってユーザーの使い勝手を損なう場面が少なくない。自動車メーカーにとっても、スマートコックピットは開発に多くのコストがかかるにもかかわらず、機能が画一化し、競争の優位性を確立するのが難しくなった。

中国で進化し続けるスマートコック(Zeekr 001 FRの車内)

そこで艾博連は、「引き算」と「足し算」を同時に実施するというアプローチを提案する。機能やデザイン面では引き算、ユーザー体験においては足し算を行うことで、受け身だった車内インターフェースを能動的かつスマートなものへと進化させようとしている。

同社のAIプラットフォーム「AI Link」は、多次元のシーンデータベースを基盤に、音声対話に対応する「AI聴覚モジュール」と、視覚や触覚に対応する「AI視触モジュール」を開発した。それにより、ユーザーのニーズ、移動目的、周囲の環境などを自動的に認識し、最適な機能を柔軟に提供するAIエージェントを構築。

通勤ナビゲーションや子ども向けエンターテインメント、仕事に関するリマインダー、災害警報など様々なシーンにおいて、個別最適化されたサービスを選び、「車が人に合わせて動く」という新たなスマート体験を実現している。

艾博連のソリューションは、すでに日常的に使われるさまざまなシーンに導入されている。例えば「パーキングメモリー」機能は、駐車位置の表示・記録やスマホアプリとの同期、出庫時の自動決済が可能で、スムーズな入出庫を可能にした。

周氏によると、すでに中国国内の大手自動車メーカーとスマートコックピットの共同開発を進めており、年内にAIモデルを搭載した複数の新製品のリリースを予定している。また、海外市場の開拓にも注力し、多様な製品ラインアップを構築していくという。

製品開発をさらに加速するために、これから独立した資金調達も開始する方針だ。

(翻訳・大谷晶洋)

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