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ロボットハンドの開発を手がける中国スタートアップ「霊心巧手(Linkerbot Technology)」がこのほど、紅杉中国(HongShan、旧セコイア・チャイナ)のシードファンドと万凱新材料(Wankai New Materials)が主導するシードラウンドで、1億元(約20億)を超える資金調達を実施した。これはロボットハンド分野におけるシードラウンドとして過去最高額であり、調達資金は基盤技術の研究開発や製品の改良に用いられる。
霊心巧手は2019年に設立され、ロボットハンド「Linker Hand」シリーズをはじめ、モーションキャプチャによる遠隔操作システムやデジタルツイン操作プラットフォームなどの製品を独自開発している。製品は、人型ロボットに代表されるエンボディドAI(身体性を持つ人工知能)開発企業や、英ケンブリッジ大学、米スタンフォード大学、北京大学、清華大学など国内外の一流大学で研究用に導入されている。また、医療・リハビリや産業オートメーションの分野でも活用されている。Linker Handシリーズの販売台数は月間1000台を超え、業界トップの市場シェアを握っているという。
ロボットハンドは「エンドエフェクタ」とも呼ばれ、ロボットが物理的環境に触れるためのコア部品として、タスクの実行能力やパフォーマンスを左右する。ロボットハンドの開発には、機械で人間の手を再現するだけでなく、細かく正確に動くように複雑なセンサーや運動制御システムを組み合わせなければならない。
Linker Handは高い自由度を実現しており、産業用では25~30軸、研究用では最大42軸で、それぞれの指の自由度は最大9軸となっており、360度の回転も可能だ。可搬重量は5kgと高く、一部の運動能力は人間の指よりも優れているという。
この自由度は、英Shadow Robot社の「Shadow Dexterous Hand」(24軸)、米テスラの人型ロボット「Optimas」(22軸)を上回り、販売されている製品の中では世界最高レベルとされている。価格は約5万元(約100万円)で、Shadow Dexterous Handの150万元(約3000万円)の20分の1程度となっている。
ハードウェア構造の面では、霊心巧手はリンク機構と腱駆動機構の2種類の設計方式をカバーしている。これら両方のロボットハンド構造を同時に量産化した中国唯一のメーカーだという。
リンク機構は、産業用ロボットや義肢装具で幅広く採用されており、剛性が高く、強力な把持力を持たせやすい。各指はそれぞれ独立したモジュールとなっているため、交換やグレードアップが可能で、精度や柔軟性、保守性に優れている。一方、腱駆動機構は、人体のように腱の張力でロボットハンドを制御するため、複数の関節を連動させてより自然な動きを実現できるうえ、ロボットハンドの軽量化も図れる。Shadow Dexterous HandやOptimasもこの方式を採用している。
霊心巧手はまた、大量の模倣学習を通じて、器用な動きに特化した世界最大のデータセット「DexSkill-Net」を構築した。これを用いてクラウド上の脳型AIをトレーニングすることで、Linker Handの学習効率と適応性を向上させており、さまざまなシーンに素早く適応できるようになったのだという。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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