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中国ゲーム大手「米哈游(miHoYo)」の創業者、蔡浩宇氏が設立した新しいAI企業「Anuttacon」が2025年3月15日、新作ゲーム「Whispers From The Star」の第1弾トレーラーを公開した。宇宙を舞台としたサバイバルゲームで、AIを取り入れた音声コミュニケーションによって進行する。情報が公開されるやいなや、ゲーム業界では大きな反響が巻き起こった。
蔡氏が率いるmiHoYoは2020年、空前のブームとなったゲーム「原神」をリリースした。同社は一躍世界の注目を集め、33歳の蔡氏は「原神の生みの親」と呼ばれた。
蔡氏は2023年9月にmiHoYoの法定代表者と会長を辞したが、依然として同社の筆頭株主にとどまる。当時の公式発表では、蔡氏が先端技術の研究と新たなプロジェクトへの取り組みに注力するためと説明された。ほどなくして蔡氏は、AGI(汎用人工知能)分野に取り組むためにAnuttaconを設立した。AnuttaconはシンガポールにあるmiHoYoの本社オフィスと同じ住所に登記されている。
今回「Whispers From The Star」のリリースで、AIゲームでも「原神」のような旋風を巻き起こすことができるかに関心が集まっている。
「Whispers From The Star」はAIモデルを取り入れた、インタラクティブな没入型SFゲームで、「原神」に似ている部分もある。主人公はガイアという未知の星に不時着した少女ステラで、プレーヤーは彼女と唯一連絡できる存在となり、この星から脱出できるよう会話しながらサポートする。会話のひとつひとつがステラの生死を左右するため、プレーヤーの判断が重みを持つことになり、ゲームへの没入感とインタラクティブ感を増幅させる。
海外のあるプレーヤーが4月5日、実際にゲームをプレーする動画を公開し、そのより詳細な内容が明らかになった。プレー画面にはステラの心拍数や周囲の温度、通信電波の強さなどさまざまな情報が表示される。こうした細かな設定により、プレーヤーは実際の救出シーンに居合わせているかのように感じる。
しかし業界で「原神」ほどの大きな影響力を持たせるのはたやすいことではない。ゲーム分野では、単にオープンソースのモデルを採用すればAI対話を実現できるわけではない。ゲームの目指すところに応じて専門の技術者がAIモデルを段階的に改良し、アルゴリズムやシステムの調整を進める必要がある。こうしたプロセスでは科学研究レベルの難しい問題に直面する可能性があり、相当なエネルギーと専門知識を費やして解決しなくてはならない。
このようにAI技術を応用したゲームでは、対話ロジックの厳密性や長時間のやり取りに耐える面白さといった多くの課題を克服しなくてはならないだけでなく、リリース後もブラッシュアップを続け、プレーヤーを引き込むゲームの世界観を作り上げる必要があると、業界関係者は指摘する。
しかしAIゲームについて蔡氏は、ビジネス向けSNS「LinkedIn」の個人アカウント(Hugh Tsai)で自身の見解を公表し、AI生成コンテンツ(AIGC)はゲーム開発に革命的な変化をもたらしたが、完成には時間がかかると指摘した。さらに、今後のゲーム創作に関わるのは2種類の人間しかいないとの考えを示し、極めて明晰な頭脳を持ち、これまで世の中に存在しなかったものを生み出す人類の上位0.0001%に当たる天才と、自己満足のために思い付きでゲームを作る99%のゲーム愛好家の2種類だとした。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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