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低速無人配送車を手がける中国スタートアップ「白犀牛(WHITE RHINO)」がこのほど、シリーズBで2億元(約40億円)の資金を調達した。中国最大手の物流企業・順豊控股(SFホールディング)が出資を主導し、東方鑫源集団(Shineray Group)傘下の鑫源汽車(Shineray Motors)と、既存株主の線性資本(Linear Venture)も参加した。今回の資金は新製品開発や、既存製品の市場拡大に充てられる予定だ。
白犀牛は2019年4月に設立され、無人配送車両とフルスタックの配送ソリューションを展開している。創業者の朱磊氏と夏添氏はともに、中国ネット大手の百度(バイドゥ)の自動運転部門の出身だ。今年3月、トラックメーカーの東風商用車(Dongfeng Commercial Vehicle)で社長を務めていた黄剛氏が白犀牛に加わり、総裁に就任した。
低速無人配送車は、自動運転分野の中でも最も早い時期に商用化された。白犀牛の朱磊CEOによると、数年前までは大学キャンパス内配送、無人店舗、地域共同購入サービスなど多様な場面で活用されていた。しかし、2024年初めごろ、ようやくビジネスモデルが鮮明になり、物流業界、なかでも宅配の集配センターとラストマイル拠点までの区間に集約されてきたという。
朱CEOは、この区間における配送ルートは往復で約10〜30km程度が一般的で、現在業界全体で無人配送車の80~90%がシナリオに投入されており、今後1〜2年はこの用途が主力となると指摘する。
主力無人配送車はR5シリーズで、荷室の容量は5.5立方メートル、500件以上の小包を積むことができ、フル充電で120キロメートル以上を走行できる。
朱CEOは、低速無人配送車は乗用車の運転支援技術発展の恩恵にあずかっていると説明する。低速無人配送車が実用化されるには、公道を時速30~40キロで安全に走行する能力が必要となるが、それにはAIの力が欠かせない。同社は、システム訓練に大規模言語モデル(LLM)などの技術を取り入れている。雨天や霧、都市部での通勤のラッシュ時でも、信号を識別し、工事現場を回避するなど高度なタスクを実行することができる。
また、乗用車市場の拡大によって、自動運転分野のサプライチェーンも急速に成熟してコストが削減されている。LiDARや演算プラットフォームなど車載規格の部品は完成度が上がり価格の低下も著しいという。
稼働台数こそが“真の評価軸”
この分野には九識智能(ZELOS)や新石器(Neolix)といったスタートアップのほか、物流大手の京東物流(JDロジスティクス)や菜鳥網絡(Cainiao Network)、フードデリバリーの美団(Meituan)といった大手プラットフォームも積極参入している。各社の投入台数が、商用化の進捗を測る重要な指標となっている。
とはいえ白犀牛は、車両の販売・納品台数ではなく、1日当たり稼働量、つまり日々実際に配送にあたる無人配送車の数こそが本質的な指標だとする。
「無人配送車の最大の価値は、生産力を向上させることにある。例えば、配送車1台が1日に2回運行するのと、10回運行するのでは、生み出す価値が全く異なる。10回稼働させるには既存の物流オペレーションに深く統合させる必要があり、段階的に進めなくてはいけない」と朱CEOは語る。
白犀牛の強みは、順豊や三通一達(中通、申通、圓通、韵達の4社)など物流業者をはじめ、小売大手の永輝超市(Yonghui Superstores)、配送サービスの達達快送(Dada Now)、生鮮食品ECの盒馬生鮮(Hema Fresh)、フードデリバリーの餓了么(Ele.me)などとの深い協業関係にある。多様な商用環境での実装を通じて、技術と製品の実用性を常に検証し続けている。
2024年4-6月期から、順豊の一部の配送拠点で白犀牛の無人配送車が導入されており、現在は日々数百台が稼働している。2026年までに、無人配送車の1日あたりの稼働数を5000台規模に引き上げることを目標としている。
*1元=約20円で計算しています
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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