“充電の覇者”アンカー、再び世界を驚かせた 「UVプリンター」でクラファン40億円突破

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モバイルバッテリーなどで知られる中国の電子機器メーカー「安克創新科技(Anker Innovations)」(以下、アンカー)が、これまで得意としてきた主力カテゴリ以外で新たな成長の柱を模索している。

アンカーはこれまで10年以上にわたり、モバイルバッテリーや充電器、ケーブルなどコストパフォーマンスの高い消費者向け電子機器を扱い、日本や欧米市場で急速にシェアを拡大してきた。アンカーという世界的なブランドを確立し、2020年には中国のハイテクベンチャー専用ボード「科創板」に上場を果たした。

しかし、消費者向け電子機器市場の成長が鈍化していることを受け、アンカーは近年、スマートホームブランド「Eufy」やワイヤレスイヤホンブランド「Soundcore」、プロジェクターブランド「Nebulra」など新たなブランドを相次いで立ち上げ、製品ポートフォリオの多様化を図っている。

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その一環として、旧3Dプリンター部門「AnkerMake」を刷新した「eufyMake」ブランドがこのほど、初の3Dテクスチャ対応のUVプリンター「eufyMake UV Printer E1」を米クラウドファンディングサイト「Kickstarter」で公開し、大きな反響を呼んでいる。開始からわずか12時間で1000万ドル(約15億円)以上を調達。5月29日時点で2800万ドル(約40億円)を突破し、テックカテゴリで過去最高記録となった。

プロユースのUV印刷を一般化

UV印刷はすでに成熟した技術であり、ガラスや金属、プラスチックなど多様な素材へのプリントが可能なため、スマホケースなどのデザイン加工に広く使われている。しかし従来のUVプリンターは高価なうえ大きくてかさばり、平面印刷しかできず、専門スタッフが必要といった理由から、消費者向けにまで広まることはなかった。

eufyMake E1はこの常識を覆す製品だ。小型・軽量化され、価格も抑えられており、個人のメイカーや小規模オフィスでも手軽に導入可能となっている。

(写真:公式サイトより)

公式サイトによると、eufyMake E1の目玉は3Dテクスチャ表現に対応していることだ。独自の正確なノズル制御技術により、さまざまな素材の表面に最大5ミリの凹凸をつけた3Dテクスチャを印刷できる。搭載したデュアルレーザーとカメラでナノメートル級のスキャニングを実現して、精度の高い印刷が可能になった。

操作もシンプルで、対象物を撮影し、テンプレートを選んでボタンを押すだけ。あとはAIが自動で作業を進めてくれる。対応素材もプラスチック、紙、革、木材、アクリル、金属など300種類に及ぶ。また、従来のUVプリンターで課題だったメンテナンスコストも、独自のセルフクリーニングシステムを採用することで従来機の10分の1に削減することに成功した。

(写真:公式サイトより)

業界に詳しい投資家は、「eufyMake E1は絶妙なポジションを築いており、現時点で市場では同じようなものはあまり存在しない。必要とされる技術も3Dプリンターに比べるとかなり易しいが、レーザー加工機よりは難しく、ちょうど両者の中間にあたる」と指摘し、「アンカー自身のブランド力とマーケティング力も大きな武器となっている」と語る。

従来の消費者向け電子機器市場が徐々に飽和しつつあるなか、メイカー(Maker)・クリエイターや小規模事業者は重要なブルーオーシャンとみなされている。この層は個性を打ち出した創作への欲求が強く、安定した購買力を持っている。例えば、同じカテゴリのレーザー加工機ブランド「xTool」も、アンカーと同様に中国・深圳発のブランドで、年間売上高はすでに20億元(約400億円)を上回っており、海外メイカーを中心に強固な支持を得ている。

「AIで業務効率を10倍に」、電子機器大手「Anker」のChatGPT活用法

*1ドル=約148円、1元=約20円で計算しています。

(翻訳・36KrJapan編集部)

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