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エレベーター内広告を手掛ける「梯影伝媒(Tikin Media)」は先日、シリーズBでの資金調達を終えたことを発表した。調達額は未公開。リードインベスターはテンセント、コ・インベスターは「深圳市創新投資集団(深創投、Shenzhen Capital Group)」「猫眼娯楽(Maoyan Entertainment)」「遠望資本(iVision Ventures)」「創世伙伴資本(CCV、China Creation Ventures)」「藍図創投(Lan Fund)」「博将資本(Bojiang Capital)」、既存株主のIDGキャピタルおよび米アレス・マネジメント。梯影伝媒はこれ以前にも、セコイア・キャピタル・チャイナ(Sequoia Capital China)や「百度風投(Baidu Ventures)」の出資を受けている。
2017年創業の梯影伝媒は、オフィスビルでのメディア運用に特化した新型広告企業だ。同社はプロジェクターを利用したエレベーター内広告を初考案し、広告画面をエレベーター内部のドア上部に投影するという手法を採用している。創業から2年が経過した現在、同社の広告システムは全国の主要60都市にあるエレベーター数万台に導入されたほか、約10カ国の先進国でも事業を展開中だ。すでに世界企業番付「フォーチュン・グローバル500」のランクイン企業やニューエコノミーのユニコーンを含む数百の広告主と提携しており、今年は昨年の5倍の売上高を見込んでいる。
梯影伝媒のビジネスモデルには以下のような強みがある。まず、エレベータードアは広告ビジネスにおける空白マーケットである上に、ビル管理会社にも新たな収入源というメリットをもたらす点だ。さらに、電波が悪く、携帯電話も使えないエレベーター内で手持ち無沙汰となる乗客は、通常はドアの方向を向いて立っているほかない。エレベータドア広告は、そのような人々の目を惹き付けるのにうってつけの手段といえる。加えて、プロジェクターの活用により更新頻度の高い動的広告が実現し、訴求力が上がるほか、広告会社にも広告内容変更のための人件費が発生しないため、運用コストが比較的安価に抑えられる。
特筆すべきは、同社の広告投影設備はIoT化により全コンテンツをクラウド経由で配信しているほか、自社開発したAI広告掲載システムにより、放映内容をリアルタイムで制御できる点だ。このほか同社はオンラインデータやプラットフォームに積極的に関与することで、広告モニタリングを効果的に実施し、受け手の消費ニーズに沿ったターゲティング広告を配信できている。
この他にも梯影伝媒は音波通信、ジオフェンシング(位置情報を活用した情報配信)、NFC(近距離無線通信技術)、SDK(ソフトウェア開発キット)埋め込みなどの技術的手段を通じてモバイル端末とのインタラクティブも実現しており、広告閲覧から携帯端末でのランディングページ表示まで1秒足らずで完了する。
オンライン広告のトラフィックは徐々に縮小しており、広告主は総じて掲載料の値上げと広告効果の低下という事態に直面している。とりわけBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)などの大手IT企業がオンライン広告のトラフィックをほとんど奪い尽くし、各社の得意分野で棲み分けが明確になりつつある今、次はオフライン広告市場に熱い視線を向けているのだ。事実、バイドゥの「百度聚屏」や京東(JD.com)の「京東鉬媒」などがデジタルサイネージ(電子看板)の設置を積極的に進めている。
梯影伝媒の創業者である任斌氏は「オフラインメディアはこれまで単なるブランド露出の手段でしかなく、モニタリングが難しい、CVR(顧客転換率)が低い、ターゲットを絞りづらいというデメリットが広告市場シェアの伸び悩みの原因となってきた。実はオフライン広告の視聴時間はオンライン広告よりずっと長い。新たな技術的手段によりオフラインメディアの弱点を解決していけば、トラフィックは爆発的に増加するチャンスがある」と述べている。
(翻訳・神部明果)
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